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社員の「わかっているけれど動けない」をどう変える?『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ』から学ぶ行動変容のポイント

社員の「わかっているけれど動けない」をどう変える?『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ』から学ぶ行動変容のポイント

目次

『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ』「業務の指示を出しても、なかなか着手しない」「相談・連絡・報告が遅く、問題が大きくなってから発覚する」「部下のやる気を引き出したいが、どう働きかければよいかわからない」──こうした悩みを抱える管理職や人事担当者は少なくありません。企業では主体性や行動力のある人材の育成が求められる一方で、研修を実施しても現場での実践につながらず、「知っている」と「できる」の間に大きな壁があることが課題となっています。

こうした課題に対して参考になるのが、大平信孝氏の著書『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ』です。本書では、「人は意志が弱いから動けないのではなく、脳の仕組み上、変化を避けようとする性質がある」という考え方をもとに、やる気や根性に頼らず行動を始めるための実践的なコツが紹介されています。

本コラムでは、本書で紹介されているコツの中から、人材育成やマネジメントに活かしやすい考え方をテーマごとに紹介します。社員が自ら行動を起こし、それを継続できるようにするためには、どのような工夫が必要なのか。また、管理職や人事担当者はどのように行動変容を支援すればよいのかについて、書籍の内容をもとに解説します。

なぜ人は「やる」と決めても行動できないのか

「やろうと思っているのに、なかなか行動に移せない」「やらなければいけないとわかっているのに、つい先延ばししてしまう」。このような経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。
部下に対しても、「もっと主体的に動いてほしい」「指示を出したらすぐ着手してほしい」と感じる場面があるかもしれません。しかし、行動できない原因を「意志が弱いから」「やる気がないから」と考えるだけでは、本質的な解決にはつながりません。
私たちが行動できないのは、性格や能力ではなく、脳が変化を避けようとする仕組みがあるためです。だからこそ大切なのは、やる気に頼ることではなく、自然と行動できる環境やきっかけをつくることです。

人は意志が弱いから動けないのではない

「続かないのは根性が足りないから」と思われがちですが、私はそうは考えていません。行動できないのは、意志や能力の問題ではなく、多くの人に共通する脳の働きによるものです。
部下育成でも、「なぜやらないのか」ではなく、「どうすれば最初の一歩を踏み出せるか」を考えることが重要です。

脳は現状維持を優先するようにできている

人間の脳は、慣れた状態を維持しようとします。そのため、新しい仕事の進め方や研修で学んだ内容も、「あとでやろう」と先延ばししてしまうことがあります。これは怠慢ではなく、変化を避けようとする脳の自然な反応です。

だから「やる気」より「最初の一歩」が重要

行動を変えるには、やる気が出るのを待つ必要はありません。まずは「資料を開く」「一言だけ報告する」など、小さな一歩を踏み出すことが大切です。最初の行動のハードルを下げることで、脳は変化を受け入れやすくなり、次の行動へとつながっていきます。
本書では、「やる気を出す方法」ではなく、性格や意志の強さに関係なく、誰もがラクに動ける、もしくは自然と動きたくなる37の方法を紹介しています。

まず動き出すためのコツ

「始めなければ」と思えば思うほど、なかなか行動できないことがあります。その理由は、最初の一歩のハードルを自分で高く設定してしまうからです。
行動を起こすために必要なのは、大きな決意や強い意志ではありません。まずは脳が「これならできそう」と感じるくらいまで、行動のハードルを下げることです。本章では、そのための具体的な方法が数多く紹介されています。

「仮決め・仮行動」で完璧を求めない

「失敗したくない」「もっと良い方法があるかもしれない」と考え始めると、人はなかなか動けなくなります。そこでおすすめなのが、「仮決め」「仮行動」という考え方です。「とりあえずやってみる」「あとで修正すればよい」と考えることで、最初の一歩を踏み出しやすくなります。仕事では、最初から100点を目指すよりも、まず60点でも形にしてみることが、結果としてスピードも質も高めることにつながります。

最初の10秒だけ動いてみる

「始めるまで」が最も大きな壁です。そこで、「まず10秒だけやってみる」ことを勧めています。「10秒アクション」と呼んでいますが、資料を開く、メールを書き始める、ノートを開くなど、ほんのわずかな行動で構いません。一度動き始めると、そのまま作業を続けやすくなるのは、多くの人が経験していることでしょう。行動は、やる気が出てから始まるのではなく、動き始めることでやる気が生まれることも少なくありません。

前日に少しだけ着手しておく

翌日に取り組む仕事でも、前日に数分だけ準備しておくと、翌日の行動が驚くほどスムーズになります。例えば、資料のタイトルだけ入力しておく、必要なデータを開いておく、最初の一文だけ書いておくといった小さな準備です。
ゼロから始めるよりも、「続きから始める」ほうが行動に対するハードルが下がり、物理的なアクセスタイムも短くなります。最初の一歩を踏み出しやすい状態をあらかじめつくっておくことも、行動を促す有効な工夫の一つです。

前日に少しだけ着手しておく

行動しやすい仕組みをつくるコツ

仕事中には、集中力を奪うさまざまな「行動ブレーキ」が潜んでいます。探し物に時間を取られる、デスクトップにファイルが散乱している、突然のメールや電話で集中が途切れる――こうした小さな阻害要因が積み重なることで、行動は止まってしまいます。また、予想外のトラブルや割り込み業務も、行動を中断させる大きな要因です。
だからこそ重要なのは、「もっと頑張る」ことではなく、行動ブレーキをできるだけ取り除くことです。本書では、行動を無理なく続けるための具体的な工夫を紹介しています。

集中できる環境を先につくる

行動ブレーキの原因が環境にある場合は、まず阻害要因を取り除くことが大切です。
例えば、机上のモノの定位置を明確に決める、月に1回パソコンのデスクトップを整理するなど、小さな工夫だけでも集中しやすさは変わります。行動を続けるには、自分の意志に頼るよりも、行動を妨げる要因を減らす環境づくりが効果的です。

習慣に「くっつける」と続きやすい

新しい行動は、すでに習慣になっている行動と組み合わせると続きやすくなります。
例えば、「朝パソコンを立ち上げたら、その日のタスクを確認する」「昼食後に5分だけ資料を読み返す」といったように、毎日行っている行動に新しい行動を"くっつける"方法です。ゼロから習慣化させようとするよりも、すでに身についている習慣を活用した方が、無理なく継続できます。

仕事を再開しやすい工夫をしておく

仕事は、中断したあとに再開するタイミングで止まってしまうことが少なくありません。
そこで本書では、作業を終える前に「次はここから始める」とメモを残しておくことを勧めています。次に何をすればよいかが明確になっていれば、再開するときの心理的な負担が小さくなります。
行動を続けるためには、「始めやすい状態」を毎回つくっておくことが大切です。少しの工夫を積み重ねることで、継続はぐっとラクになります。

仕事を再開しやすい工夫をしておく

感情に頼らず成果につなげる考え方

「すぐやる人」と、つい先延ばしにしてしまう人との間に、能力や性格の大きな違いはありません。違うのは、物事の捉え方や、自分との向き合い方です。
「すぐやる人」は、「自分ならできる」「きっとうまくいく」といった前向きなイメージを描きながら行動しています。一方で、先延ばしをしてしまう人は、「失敗したらどうしよう」「難しそうだ」といったネガティブなイメージに意識が向きがちです。
これは性格の問題ではありません。物事の見方や考え方を少し変えるだけでも、行動は変わります。本章では、感情や気分に左右されず、前向きに行動を続けるための考え方を紹介します。

結果より「行動」に目を向ける

成果ばかりを気にしていると、思うような結果が出なかったときに行動が止まってしまいます。
そこで「結果目標」ではなく、「行動目標」を意識することを勧めています。例えば、「契約を取る」ではなく「毎日3件訪問する」、「資格に合格する」ではなく「毎日30分勉強する」というように、自分でコントロールできる行動に目を向けます。
行動を積み重ねることで、結果はあとからついてきます。「行動目標」と「結果目標」の両方を設定して使い分けることがポイントです。

他人ではなく過去の自分と比較する

「あの人はできているのに、自分はできていない」と他人と比較すると、自信を失い、行動する意欲も下がってしまいます。
比べるべき相手は、他人ではなく過去の自分です。昨日より少し早く取りかかれた、先週より報告が早くできたなど、小さな成長に目を向けることで、自分の変化を実感しやすくなります。
行動を継続するためには、自分自身の成長を認める視点も大切です。

できていることに目を向け、小さな成功を積み重ねる

行動を続けるためには、「できていないこと」よりも、「できていること」に目を向けることが大切です。
私たちは、つい反省点や不足している点ばかりに意識を向けがちです。しかし、それでは「自分はできない」という印象が強くなり、次の行動への意欲も失われてしまいます。
昨日より少し早く仕事に取りかかれた、予定どおりに報告できたなど、小さな前進を認めることが大切です。できたことを積み重ねることで、「自分にもできる」という実感が生まれ、次の行動への自信につながります。
行動を変えるためには、大きな成功を待つ必要はありません。日々の小さな成功体験を積み重ねることが、継続的な行動と成果につながるのです。

小さな成功を積み重ねる

本書の考え方を人材育成に活かすには

ここまで、本書で紹介されている「やる気に頼らず行動するためのコツ」を紹介してきました。では、これらの考え方は企業の人材育成にどのように活かせるのでしょうか。
「社員がなかなか動かない」「研修で学んだことが現場で実践されない」といった課題は、本人の意欲だけで解決できるものではありません。行動を起こしやすくし、継続しやすい環境や仕組みを整えることで、社員の主体的な行動は生まれやすくなります。
人材育成では、「やる気を高めること」だけでなく、社員が自然と行動できる環境や仕組みを組織として整える視点が重要です。

行動変容を定着させるには仕組みが必要

研修直後は意欲が高まっていても、時間が経つと元の行動に戻ってしまうことは珍しくありません。
その背景には、変化を避けようとする脳の仕組みや、職場環境、日々の業務の忙しさなど、さまざまな要因があります。そのため、「本人のやる気が足りない」と考えるのではなく、行動を続けやすい環境を整えることが、行動変容を定着させる第一歩になります。

管理職は「行動」を支援する役割へ

部下を育成する際は、「もっと主体性を持ってほしい」と伝えるだけでは、行動は変わりません。
例えば、「まず今日中に一度やってみよう」「最初の5分だけ取り組んでみよう」といったように、具体的で取り組みやすい行動を一緒に設定することで、部下は最初の一歩を踏み出しやすくなります。
管理職に求められるのは、やる気を引き出すことだけではなく、行動を起こしやすい環境や働きかけをつくることです。

人事は「実践できる環境」を設計する

人材育成の成果を高めるには、研修を実施して終わりではなく、学んだことを現場で実践できる仕組みづくりが欠かせません。
例えば、研修後に実践目標を設定する、上司との1on1で行動を振り返る、職場で継続的にフィードバックを行うなど、学びを日常業務につなげる工夫が重要です。
社員一人ひとりの「行動」を少しずつ変えることが、組織全体の成果につながります。本書で紹介されている考え方は、管理職や人事担当者が行動変容を支援するうえでも、多くのヒントを与えてくれます。
社員の主体性や行動変容は、一人ひとりの努力だけに任せるのではなく、組織として支える仕組みを整えることで、より着実に定着していきます。


かんき出版の社員研修では、本書で紹介されている考え方をもとに、社員の主体的な行動を促し、行動変容を組織に定着させるためのプログラムをご提供しています。
「研修を実施しても行動変容につながらない」「社員の主体性を高めたい」「管理職の部下育成力を強化したい」とお考えの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。貴社の課題や育成方針に合わせて、実践につながる研修プログラムをご提案いたします。

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