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研修コンテンツをニーズに合わせて調整できる魅力。実現したい姿からの逆算を行う/リコージャパン株式会社

研修コンテンツをニーズに合わせて調整できる魅力。実現したい姿からの逆算を行う/リコージャパン株式会社

目次

リコージャパン株式会社
経営企画本部 人財開発センター デジタル人財開発部 ITエンジニア教育グループ

大江 薫様


リコーグループの販売会社として知られるリコージャパン株式会社には1万8,000名以上の従業員が在籍しています。人財開発センターのITエンジニア教育グループでは、このうち約1,200名のSE職に向けた年間を通じて様々な公募式の研修を実施しています。
人数が多ければ多いほど、役職や年次、これまでの業務経験はもちろんのことその人の個性にあった最適なレベルのプログラムは異なります。特にグループの再編直後に、現在のような専門部署が設置される以前は手探りで最適な研修を模索していたため、通常よりも試行錯誤が必要だったと言います。
「社風と講師の相性」「研修テーマのカスタマイズ」などにこだわってきた理由と実践方法についてお聞きしました。

(文/藤原 友亮(トリコナッジ) 撮影/平瀬 拓)

研修のノウハウがない中で最適な方法の情報を足で集めた

——大江様が現在の業務を担当するようになった経緯を教えてください

大江 薫様(以下、大江):2014年、私は所属していたリコーITソリューションズから、現在のリコージャパンへ転籍しました。IT事業の一部が移管されたことにともなうもので、同じグループとはいえ、異なるカルチャーの上司・社員と一緒になることへの戸惑いはありました。組織再編の結果、翌年には私の所属していたグループが廃止になることになり、新設される教育担当のポジションにつくこととなったのです。

——教育スタッフになって、まず何をしたのでしょうか

大江:上司は営業畑出身、私もSE職が長くこれまでのキャリアとはまるで違う仕事でしたので、何から始めればよいかさえわからない手探りの状態でした。ノウハウもなかったため初年度は、私の古巣であるリコーITソリューションズの中の教育部署の方を頼って、合同で研修を行う形をとりました。

しかし、組織が違えばカルチャーが違い、カルチャーが違えば知識レベルや研修に対するニーズも異なるためにミスマッチを起こしてしまいました。結局のところ合同方式は1回で立ち消えとなり、私は独自で研修を作らなければならなくなったのです。

——どのような経緯でかんき出版のことを知りましたか

大江:かんき出版さんが開催している「体験セミナー」に申し込んでみようと思ったからです。グループ内でSE向けのさまざまなセミナーの情報を収集したのですが、弊社のレベル感やニーズに合うものが見つかりませんでした。こうなったら自分の足で稼ぐといいますか、未知の講座でもどんどん調べていくしかないだろうと思っていました。
このとき初めて、弊社の営業部門がすでに研修でお世話になっているため、かんき出版さんに弊社を担当する営業の方がいらっしゃることを知ったんです。後日、改めて私どもが求めているレベルや研修で満たしたいニーズを丁寧にヒアリングしていただき、書籍の著者に講演を依頼できることを教えていただきました。

体感してよいと思った内容だけを社員に供給したい

——どのように講師やプログラムを決めていったのか教えてください

大江:私が最もこだわったのは、研修を依頼するかどうかを決める前に講師の話を生で聞けることでした。講演内容は書面を見ればなんとなくは理解できます。しかし、大切にしたかったのは講師の雰囲気が弊社の社風に合うことだったんです。研修に限らず、フィーリングが合わない人の話は、どんなによい内容だとしても頭に入ってこないですよね。
そういう意味で、かんき出版さんが実施している体験セミナーの存在はとてもありがたかったです。他社ではこのようなサービスは少ないので、必ず事前に講師との打ち合わせを実施していますが、やはり生の講演を聞くのは確実ですね。

——かんき出版が初年度に提供したのは1on1のやり方やリーダーシップなどヒューマンスキル系の講座でした

大江:1on1の制度が導入されてまもなく他社で研修を実施したのですが、あまりしっくり来る内容にはなりませんでした。そこで考えたのは、やり方や細かなテクニックの説明よりも、もっとパッションやマインドを刺激するような起爆剤が必要だということでした。体験セミナーで情熱的なプレゼンテーションを聞いて「あ、これだ」と確信しました。

——実際の研修は好評でしたか 

大江:実は「2回目は好評だった」という注釈がつきます。同じ講師に2回研修を実施していただいたのですが、1回目は弊社の要望を詰めすぎて、講師の持ち味を生かしきれず、期待していた起爆剤にうまく火がつかなかったんです。1回目の研修終了後の打ち合わせでチューニングしたので、2回目は大成功でした。
このプロセスがとても大事だと思います。一般的に言うと、研修コンテンツありきで、依頼側がそこから選んでいくイメージがありますが、かんき出版さんも、講師の方々も、自分の話したいことを押し付けることなく、弊社のニーズにアジャストしてくださる姿勢に共感しました。

——大江様のこだわりあってこそですね

大江:私の性分として「なんとなく踏襲」するのは嫌なんです。また、よい内容だと確信が持てていないコンテンツを社員に届けるわけにはいきません。常にアンテナを張って今の流行を捉えたり、社内の若手との会話を通じてどんな課題があるかを抽出したりしています。そのうえで、そのときに必要な学びの仮説を立てていくイメージです。
コロナ禍で社内に停滞感が漂っていたときには、あえて派手な演出をする講師をアサインしていただいたこともあります。平時なら、弊社のおとなしい社風には合わなかったかもしれませんが、結果的には大反響でした。こうしたチャレンジができるのも、研修のことが何もわからず自己流でやってきたからではないかと思います。

自社はどうありたいか、社員がどうあってほしいかを想像する

——コロナ禍が明けてもオンライン方式での研修を実施されています

 大江:はい、オフラインに戻す予定はありません。SE職は全国に点在していますが、研修参加のために前日に移動する時間もコストもかけずに済みます。社員数の少ない拠点に所属するスタッフからは「初めて研修に参加できてよかった」という声が聞こえたほどです。 

——動画コンテンツによる学習とはどう使い分けていますか

 大江: eラーニングの動画コンテンツを用いて、研修前に一定の知識をインストールしておくことで学びを深めた上で、集合研修を受講してもらっています。オンラインであっても集合研修の魅力はアウトプットできることですね。同じ会社のメンバー同士でひざを突き合わせながら、講師に直接質問しながら、ディスカッションによって深まる学びもあると思っています。現場から「研修がないと困る」と声が上がった事例もあります。

 ——その事例というのは?

 大江:SE向けの1on1を強化する研修が3年経って終わろうとしていました。当初の本部の考えは「これで終わりでよい」というものでしたが、現場の部門長クラスから続々と継続してほしいという声があがったのです。こうした声があがることによって、積み重ねてきた内容が正しかったと感じられます。

 ——これから新たに研修を始める企業へ向けたメッセージはありますか

 大江:研修は外部のプロにいろいろ相談することで、さまざまな提案を受けられます。その中から選ぶというより、まず自社のありたい姿や理想となる社員像、そして現在のギャップをはっきりさせるのがポイントだと思います。営業担当の方とよく会話をして、どんな価値観を持っているかなどを情報交換するのが大切です。

 ——「こうありたい」という姿を言語化して、繰り返し社内外に発信することで近づけていくのですね。ありがとうございました。


※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。

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