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前例のない「サステナブル研修」を最適な内容でオーダーメイドできた/三井ホーム株式会社

前例のない「サステナブル研修」を最適な内容でオーダーメイドできた/三井ホーム株式会社

目次

三井ホーム株式会社 
サステナビリティ推進室長
 石橋 円子 様


三井不動産グループ唯一の木造建築会社である三井ホーム株式会社。2021年度にESG/SDGs推進グループが発足し、サステナビリティ推進の活動を本格化させました。
サステナビリティブランド「&EARTH with WOOD」を発表し、⽊造建築の発展を通じ社会に貢献するというメッセージも発信していますが、社員の意識を高め、行動変容を促すこともサステナビリティ推進室のミッションです。
手探りで始めたという研修を進化させ、社員の理解促進や意識啓発に取り組むために、かんき出版へ研修プロデュースをご依頼いただいた理由および成果についてお聞きしました。

(文/藤原 友亮(トリコナッジ) 撮影/平瀬 拓)

既存の研修を踏襲するのではなくオーダーメイドを希望

——石橋様がサステナビリティ推進室に異動された経緯を教えてください

石橋 円子様(以下、石橋):事務職で入社し、さまざまな経験を経て、商品開発部で総合職に職掌転向しました。現在のサステナビリティ推進室の前進にあたる総務部 ESG/SDGs推進グループに異動したのが2021年です。三井不動産グループ全体で推進しているESG経営、その中でも脱炭素と女性活躍推進をグループ横断で取り組んでいます。

——昨今、多くの企業で「サステナビリティ推進室」が設置されていますが、何をすべきか頭を悩ませている方も少なくないとお聞きします

石橋:私たちも同じ状況でした。正直、最初は「サステナビリティ推進とは何をすればよいのか」という状態でした。私たちの「ミッション、ゴールは何か?」と社内の誰に聞いてもわからないので、文字通り手探りで研修に取り組み始めたことは今でも覚えています。そのような中で、ポータルサイトを運営したり、外部のセミナーやイベントに参加して得た情報を社内に発信するなどに努めてきました。加えて、独自の研修も行ってきました。

——それまでの研修の実施内容をお聞かせいただけますか

石橋:2019年に三井不動産が、私ども子会社を含める三井不動産グループによるSBT(パリ協定の水準にあわせて企業が自らに課す温室効果ガス排出削減目標)の認証を取得しました。それに伴い、脱炭素のミッションを社員に伝える必要がありました。また、木の価値を社内に浸透させたいと考え、2021年には社内でふさわしい講師を探したんです。
翌年(2022年)は外部の講師に依頼し「脱炭素社会に向けた最新動向」と題したサステナビリティ研修を実施しました。また、SDGsにまつわるe-learningのコンテンツを活用しつつ、三井不動産グループや当社の情報を踏まえながら最新情報を届ける試みも行いました。  

——どのような課題があり、なぜかんき出版にご依頼いただいたのでしょうか

石橋:外部の専門家に最新動向を聞くと、専門的で高度な内容になりがちです。しかし「営業スタッフが明日の商談でお客様にお伝えできる」ような共感できる気づき、知識が得られる研修こそ必要なのではないかと考えていました。
たとえば弊社は、ZEH(ゼッチ=高断熱性能によって、光熱費を大幅に削減できる省エネ性の高い住宅)を推進していますが、太陽光発電の重要性は理解できても、それがどのような理屈の上に成り立ち、他の再生可能エネルギーよりも何故推奨されているのかを説明するのは難しいです。そんな営業スタッフが新たな知識を仕入れ、お客様の前でも堂々と話せるようになるには、既存のパッケージ化された研修ではなく弊社のニーズやレベルにあわせたカスタマイズが必要に感じていました。
とはいえ、このような漠然とした考えの段階で社外の方に相談するのは躊躇していたのですが、担当者が以前人事部に所属していたとき、お世話になったかんき出版さんに思い切って連絡したのが始まりです。

希望するテーマに最適な講師・内容を一緒に模索した

——最初にご提案を受けたときの印象はいかがでしたか

石橋:最初は、時間をかけてじっくり学ぶストレートな提案をいただきました。ただし、難しい内容を難しく説明されても、社員が「自分事化」するには、基礎から学ぶ必要があると思っていたので、本質をいかに噛み砕いて伝えることができるか、なんとなくわかっていても人には説明できない基本的なことをどんな手段で腹落ちさせられるかを相談させていただきました。

——講師を決定した要因は何だったのでしょうか

石橋:かんき出版さんが、講師として渡辺パコ先生を強く推薦してくださったのが一番大きかったと思います。実際にお会いしてみると、豊富な知識があるにもかかわらず、こちらの要望を受け止める柔軟な対応力と、穏やかな人柄に惹かれました。しかも私たちの要望を聞くだけではなく、弊社や三井不動産の取り組みやメッセージなどもきちんと調べて「もっと高い目標を掲げるべき」だと熱く語られました。社員がとっつきやすい入門編の内容にしようと考えていたので、正直に申し上げると戸惑いもありました。

——それでも最後は講師の意見を信用し、採用していただきました

石橋:ご自分の主張を押し付けたいのではなく、研修後に受講者が成長した姿をイメージし逆算していることが伝わってきたからです。「高度な内容だと、受講生がついていけなくなる」という懸念も理解したうえで、世の中の潮流をわかりやすい言葉で伝えること、自分たちの仕事に結びつくエピソードを盛り込むことなどの工夫を約束してくださいました。

——研修会の回数、形式でもさまざまなご要望があったそうですね

石橋:当初、3回シリーズの研修を希望していましたが、繁忙期と重なったためカリキュラムを2回に絞ることとなりました。その代わりに、研修前の事前学習用として動画を用意していただき、本番での理解が深まるような準備にも柔軟に対応していただきました。
本番まで、講師とかんき出版さんで綿密に連携していることはメールでのやり取りからも伝わってきました。研修の回数や時間制限があるなかでも「いかにして学びを最大化するか」を本気で考えてくださいました。当日も弊社のメンバーがリアルタイムでの配信に不慣れなところをサポートいただいたり、収録した研修ビデオに全編字幕を入れていただいたり、きめ細やかな対応にとても感謝しています。

意識が変われば行動が変わり、未来も変わる

——研修を終えて社員の皆さんの反応や手応えはいかがでしょうか。

石橋:オンタイムの受講者数は650~700名、録画視聴を含めると最終的に全社員の約6割にあたる1,700~1,800名が受講しました。そのなかで80%の参加者が「満足」と回答した点からも上々だったと評価しています。
受講した社員からは「難しい内容を予想していたがわかりやすかった」「事前や当日の質問にも一つずつ丁寧に回答してもらえて学びが深かった」などの感想が寄せられました。しかし「理屈はわかっても企業として、個人としてどう取り組めばいいのかわからない」といった声もあり、関心を高めるだけではなく、具体的な実践に移す方法を模索する必要性を感じました。

——今後の展望についてお聞かせください。

石橋:今回の研修でほんの少し、社内の環境問題に対する意識が前進したように思います。繰り返し研修を実施することで、誰もがサステナビリティに参画している意識が定着していけたら良いと考えています。弊社のサステナビリティ推進室は、専門家の集団ではありません。テーマや課題ごとに、社内外のその分野に精通している人のノウハウを活かし、個人の力では収集できないような情報を届けていきたいです。
今後は脱炭素に限らず、D&I(ダイバーシティ・インクルージョン)に特化した研修も行いたいと検討しています。2030年までの目標を示した「SDGs」ではなく、サステナビリティ研修と名付けたのは、その先も企業として存続すべき、そのために必要な行動を一人ひとりが起こせるようになりたいという想いを込めてのものです。これからもその時点で最適な研修を実施できるように、お力添えいただければと思います。

——新しいテーマで前例が少ないからこそ、講師も含めた柔軟なプログラム編成が重要だと理解できました。ありがとうございました。

※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。

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