やりっぱなしにしない!研修効果を見える化するための測定方法とは?

やりっぱなしにしない!研修効果を見える化するための測定方法とは?

目次

企業の研修担当は、研修を実施し効果が得られたのか振り返りますが、そもそも「効果」とは何をもって「成功」したと言えるのか、測定基準を明確にしていますか?その研修の効果が得られたかどうかを判断するためには、事前の研修設計が必要不可欠です。当コラムでは、研修の効果測定が求められる理由や測定方法などをお伝えします。

研修の効果測定が求められる理由とは?

研修は実施しただけ終わりではありません。目的としていた行動変容が行われているのかを把握することが重要です。以前から研修効果測定は必要とされており、永遠の課題ですが、近年さらに必要とされている理由を3つお伝えします。

研修が対面からオンラインに切り替わっているため

コロナ禍により、リモートワーク制度を導入する企業が増え、それに伴い、研修がオンラインに切り替わりました。オンライン研修は、場所の制約がない、複数の拠点で同時に受講できる、会場を確保する必要がないといったメリットがあります。しかし、受講者の集中力が継続できているのか、双方向のコミュニケーションができているのか、十分なアウトプットが行われているのかなど、対面時に把握できたことが見えづらくなっています。そのため、オンラインの特性を活かした内容に見直すとともに、効果測定も改善することが必要です。

研修テーマが多様化しているため

グローバル化、メンバーの多様性、DX、働き方改革、人的資本経営、サステナブルな社会の重視などの企業に求められることが変化しました。経営方針に合わせて人材育成を行うため、研修のテーマも多種多様になります。研修ごとに目的が異なるため、それぞれのゴールに基づいた効果測定方法も検討する必要があります。

学びの手法が多様化しているため

eラーニングや動画コンテンツを簡単に制作できるツールの登場により、従来の集合型の研修だけではなく、研修と組み合わせたハイブリッド・ラーニング、多数のコンテンツを配信しているサブスクリプション型のeラーニングや動画配信サービスなど、さまざまな方法で学べるようになりました。手法に合わせた多角的な効果測定を設計しましょう。

効果測定における研修担当の課題

「単発研修と長期研修があり、どのように目標を設定すればいいのかわからない」
「期待している効果が表れるまでに時間がかかる」
「手間とコストがかかり、リソースが足りない」
「何かしら変化が見えるが、研修の直接的な効果であるのか判断しづらい」
「どのように可視化すればいいのかわからない」
「受講者の上司の協力が得られない」
「講師の力量によって差が生じる」

効果測定に明確な基準はありません。効果を測定することの必要性は理解しているものの、効果が現れるまでの期間が要素により異なっていたり、時間やコストがかかったりといった理由により、評価体制を整えられないという課題を抱えている研修担当は多いようです。

効果測定の目的

研修効果を測定する際、何を目的に行うのかを明確にします。

・受講者の理解度を測定する
・受講者の意識・態度などの行動変容を測定する
・研修の職場での活用度を把握する
・研修プログラム内容、受講対象、日数、講師など改善すべき点を明確にする
・研修ニーズを探る
・研修予算を確保する
・研修を継続すべきか判断する
・人的資本の開示のデータとして扱う可視化指針

研修効果測定の指標

研修の効果測定の指標として、4段階で評価を行う「カークパトリックモデル」が有名です。さらに、経営的な視点としてROI(投資対効果)の評価項目を加えたジャック・フィリップスによる5段階で行う評価も存在しています。

レベル1:反応(Reaction)

受講者が研修に対してどれだけ満足しているかなどを評価するフェーズです。研修終了直後のアンケートを行うことが一般的で、満足度を具体的な数値で判断することができます。

レベル2:学習(Learning)

受講者が研修内容をしっかり学習できているかを評価するフェーズです。学んだ内容を理解して、知識として定着しているかを調べます。研修実施日から研修数日後くらいの期間に行う理解度テストで理解度を測ります。

レベル3:行動(Behavior)

受講者が研修で学んだ内容を日常業務で実践できているか行動変容を評価するフェーズです。研修終了後3か月後、6カ月後など一定期間が経過した後に、受講者本人や上司へのヒアリングやアンケートなどの方法で調査を実施して、継続できているかを測ります。

レベル4:結果(Result)

受講者が研修で学んだことを実践した結果、企業の成果につながっているかを調査するフェーズです。研修の目的に合わせ、「数値で確認できるもの」を設定しましょう。例えば、売上実績、コスト削減・顧客満足度などです。レベル3よりも期間を空け、6カ月後、1年後など定期的に調査を行います。

レベル5:費用対効果(ROI)

研修でかかった費用に対して、どのくらいの効果が得られたのかを調査するフェーズです。「ROI = 研修によって得られる利益÷研修にかかる費用×100」で算出します。しかし、研修と効果の因果関係が複雑であるため、算出はとても難易度が高いことが現実です。レベル5は、レベル4の結果に含まれるという意見もあります。

研修効果測定の方法

受講者アンケート

効果測定の方法としてよく使われる方法で、研修直後に受講者に対して実施されます。レベル1の「反応」を見るのに適していて、満足度、難易度、研修内容や講師の評価を測定できます。

理解度テスト

レベル2の「学習」を測ることができます。研修内容を確認する設問を用意し、受講者に対して確認テストを行い、その点数によって、研修内容を身につけているか評価を行います。

第三者の行動観察

レベル3の「行動」を測ることができます。上司だけではなく、同僚・部下に対して、ヒアリングやアンケート調査を行い、客観的に研修前後で行動変容があったかどうかを調査します。定期的に調査を行うことで、定着しているかもわかります。また、研修を受講していない人と比較することでも新たな気づきが得られます。

インタビュー

受講者本人にインタビューを行い、主観的な行動変容の調査を行います。研修の内容を業務に活かせているか、業務で意識しているかを確認します。行動できている/いないに関わらず、その理由もヒアリングすることで、研修の改善に活かすことができます。

効果を高める研修設計

効果測定は、受講者が研修で学んだ内容を実務で実践し、成果を出しているか「見える化」することです。研修の効果を高めるために、研修事後のフォローだけではなく、研修の企画段階から施策を考えていく必要があります。

組織のニーズと研修内容を合致させる
研修内容は、企業・現場のニーズに合っている内容でしょうか。経営戦略からブレイクダウンされたニーズ、現場とのコミュニケーションの中で発見された課題、中長期的な人材育成の視点から抽出されたニーズのいずれかに該当している必要があります。

研修の目的を明確にする
学ぶ理由、研修を受講した後にどのような変化を求めているか、研修で得たことを現場でどのように生かせるのかを明確にします。目指したい行動をイメージし、どんな「行動」ができるようになってほしいか、「ナレッジ」「プラクティス」「バリュー」の観点から行動目標を細分化します。

行動目標に対する評価手法を明確にする
「When/Who/What/How feasible」の4つの観点で、いつ、誰から、どのようなデータを取得するのか、どの程度実現可能かを明確にします。

受講者に動機づけを行う
受講者本人や上司に研修の目的を事前に伝え、どのような変化を期待しているのか、現場でどのように生かせるのかを案内しておくことで、研修に対する学習意欲を高めます。

かんき出版が提供する研修の特長

かんき出版の社員研修は、ビジネストレンドを発信し続けている出版社による法人向け研修サービスです。数多くのビジネス書のノウハウを持ったコンサルタントが、お客様ごとに異なる課題一つひとつに向き合い、著者ネットワークを活かしたオリジナルのプログラムを提案し、育成課題の解決へと導きます。

(1)さまざまな経験をもつ講師陣
かんき出版の社員研修は、ビジネス書の著者を中心としたプロフェッショナルな講師陣と、実用的なビジネスメソッドを学べる充実したプログラムが特長です。基本的なビジネススキルからリーダーシップ、ダイバーシティ推進まで、さまざまな分野に精通した講師による研修プログラムを多数ご用意しております。

(2)課題に合わせてプログラムをカスタマイズ
パッケージ化された画一的なプログラムでは、企業のビジョンにフィットしない、社員が自分事として捉えられない、なんてこともあります。貴社のダイバーシティ&インクルージョンの施策や課題に合わせて、最適な研修プログラムを提案します。

(3) 研修効果の「見える化」
ヒアリング時に研修を実施する目的を明確にしたうえで、お客様と一緒に研修プログラムのゴールを設定。さらに研修前・研修直後・および半年~5年間程度の期間で独自のフォローアップアンケートを行い、研修内容の理解度、業務での活用度、定着度の「見える化」をご支援します。


「どのように効果測定を行えば良いかわからない」「学習内容がなかなか定着しない」「自社内でアフターフォローをする余裕がない」といった課題を抱えている企業様は、「かんき出版の社員研修」にご相談ください。


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