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~行動科学マネジメント®でメンバーの行動を変える~“できる社員” を育てる『教える技術』

~行動科学マネジメント®でメンバーの行動を変える~“できる社員” を育てる『教える技術』

目次

2025年10月、株式会社ウィルPMインターナショナル 松村学朗氏によるアーカイブセミナーを開催しました。本セミナーでは、行動科学マネジメント® をもとにしたできる社員を育てる『教える技術」とその研修プログラムについて解説していただきました。
以下にセミナー内容の一部をご紹介します。内容は、講師の許可を得て掲載しております。

はじめに

今回は、行動科学マネジメントに基づく『教える技術』の研修がどのような学びをもたらすのかをご紹介いたします。
「行動科学マネジメント®」という考え方を聞かれたことはございますか?これは、もともと行動分析学や行動心理学をもとにした人の育成、組織のマネジメント手法であり、アメリカ、ヨーロッパで活用されていました。弊社の代表である石田淳が、この手法を日本の企業向けにアレンジし、体系化しているのが、当社ウィルPMの行動科学マネジメントという考え方になります。

私たちが大切にしている大前提の考え方は、非常にシンプルです。それは、ビジネスにおけるすべての結果は、小さな行動の積み重ねによって成り立っているという点です。
ゆえに、私たちが焦点を当てるのは、感情や意識ではなく、人の「行動」です。なぜなら、意識は継続できず、どんなに高い「やる気」があっても、成果を出すためのやり方(行動)が分からなければ、やる気はすぐに下がってしまうからです。

行動科学マネジメントにおける「人を教える」とは、「相手のできることを増やす」ことです。本研修を通じて、組織全体の育成力を高める、再現性の高い指導法をぜひ身につけてください。

パート1:~行動科学マネジメント®でメンバーの行動を変える~“できる社員” を育てる『教える技術』(松村 学朗氏による講義)

1. 成果は「行動の集積」である:なぜ意識ではなく行動に注目するか

行動科学マネジメント®では、「 すべての結果は、小さな行動の積み重ね 」によって成り立っていると考えます。この考え方を人材育成に適用する場合、 人を教えることとは、相手の「できることを増やす」こと と定義されます。

多くの指導者は、「やる気を出せ」「もっと意識を高く持て」といった、意識や精神論に訴えかけるアプローチを取りがちです。しかし、行動科学マネジメント®の視点では、 意識は継続できない という前提に立ちます。

「どんなにやる気があっても、やり方(行動)が分からず成果が出なければ、やる気は下がる」のです。高い意識を持っても、成果を出すための具体的なやり方が分からなければ、成長の実感が得られず、初めに持った高い意識はすぐに低下してしまいます。

マネジメントの焦点は、部下やメンバーの「心」や「やる気」といった計測不能なものから、成果につながる 具体的な「行動」に移す 必要があります。

2. 人が仕事で「できない」と感じる二つの根本的な理由

部下やメンバーが組織の求める成果を出せないとき、上司は「やる気がない」「向いていない」と考えがちですが、行動科学マネジメント®では、人ができない理由は以下の二つに集約されると考えます。

1.  正しいやり方(行動)が分からない。
  * 成果を出すための具体的な行動手順やポイントを、そもそも知っていない状態です。
2.  やり方は分かるが、継続することができない。
  * 正しい手順は知っているが、それが自己流になったり、習慣化できていない状態です。

人を教える立場にある管理職は、まず、部下がこのどちらの課題に直面しているのかを明確に区別して指導に臨む必要があります。

人ができない理由

3. 【育成フェーズ I】「やり方が分からない」を克服する三つのステップ

部下が「正しいやり方(行動)が分からない」状態にある場合、指導者が実践すべきステップは以下の通りです。

1. 行動を分解・言語化
特に優秀なプレイヤーが管理職になった際、彼らの仕事のやり方は「無意識、感覚・直感的」な 「暗黙知」 になっていることが多いです。指導者は、この暗黙知を、誰が見ても聞いても理解ができる具体的な「行動の言葉」である 「形式知」 に変換する力が必要です。
例えば、「お客様の懐にガッと入って、心をガシッとつかむ」という抽象的な指導では、新人は何をすべきか理解できません。指導者は、それを分解し、客観的に観察・計測できる言葉で表現する必要があります。この分解作業で特定された、成果に直結する重要な行動を「ピンポイント行動」と呼びます。

2. チェックリスト化
分解し言語化された行動は、レシピサイトのように、「チェックリスト」として明確に提示することで、全くやり方が分からない人でもできるようにする必要があります。これにより、教える側と教えられる側で、最低限押さえておくべき「共通の認識」を作ることができます。

3. 反復トレーニング・系統的脱感作
やり方が分かったら、成果につながる行動を「繰り返し練習」し、身につけさせます。ロールプレイングやトークスクリプトの反復練習などがこれに当たります。

また、最初から全てを教え込むのではなく、「系統的な負荷調整(スモールステップ)」を設定します。一から十まで一気に渡すのではなく、「まずは一から三まで」「それができたら四から六まで」というようにステップを踏んで指導することで、成功体験を積み重ねさせます。

再現性を高めるための「MORSの法則」

言語化の精度を高め、再現性(教える側と教えられる側が同じ行動を取れること)を確保するためには、以下のMORS原則(モアーズ原則)に従って表現をチェックします。



指導者は、このMORS原則に照らし合わせ、抽象的で曖昧なスローガン(例:なるはやで、きっちりと、視野を広く) ではなく、 具体的な行動の言葉 で伝えるトレーニングを積む必要があります。

4. 【育成フェーズ II】行動を「習慣化・継続」させるための科学:行動の強化(R+)

やり方が分かったら、その行動を定着させ、習慣化させることが必要です。行動科学マネジメント®では、行動が習慣化されることを「行動の強化」と表現します。
行動の強化には二つのアプローチがあります。

1. 正の強化(R+:Want to do/したい) : 望ましい行動の直後に「快」を与えることで、その行動を能動的かつ主体的に増やし、習慣化させます。
2. 負の強化(R-:Have to do/しなければならない) : やらないと「不快」が生じる(ペナルティや叱責を受ける)ことを避けるために、最低限の行動を維持させます。

企業の人材育成においては、部下が自発的な行動(能動的な主体性)を増加させるため、正の強化(R+)のアプローチが推奨されます。

管理職がすべきことは、部下が望ましい行動をとったときに、それをちゃんと見て、褒めることや認めることといったポジティブなフィードバック(メリット)を与え、行動を強化していくことです。部下は、行動の直後に報われることで「やってよかった」と感じ、その行動の頻度が増加します。

行動の習慣化=強化

パート2:質疑応答

講師:松村学朗氏
ファシリテーター:株式会社かんき出版 HRソリューション事業部 山縣道夫

山縣― 行動を細かく指示すると、部下の自主性が失われるようなことはございませんか?

松村氏―指導の目的は「できることを増やす」ことであり、すでにできていることや、自力で進めている部分はむしろ褒めたり認めたりして伸ばします。
細かく具体的な指導が必要なのは、「できていないこと」や「本人がつまずいているところ」を乗り越えるためのやり方を伝えるためです。やり方がわからず放置され、「自分で考えてやれ」と言われることこそ、自主性を失わせる原因となると言えます。

山縣― 「誰がやっても同じ結果が出る」その「再現性」について具体的に教えてください。

松村氏―誰がやっても同じ結果(成果)が出ることの再現性を担保するためには、単にハイパフォーマーの行動を模倣させるだけでなく、その行動がなぜ成果につながるのかという「本質的な理由や心理効果」に目を向ける必要があります。
例えば、ある販売員が試食を渡した後、お客様から視線を10秒ほど逸らす行動は、お客様に「味わう間」や「考える間」を与えるサイレントクロージング(黙って待つ)という心理効果に基づいています。行動科学は、この根拠を分析し、行動として指導することで、その効果(再現性)を他の社員にも波及させます。

山縣― 評価制度のコンピテンシーや行動評価と、どのようにつなげられますか?

松村氏―行動科学に基づく「教える技術」は、組織の評価制度と密接に連携させることが可能です。
評価制度のコンピテンシーや行動評価の指標を、日常の仕事における具体的な行動に言語化し、共通理解を作ることが重要です。評価者は、面談でフィードバックを行う際、A評価やB評価といった抽象的な結果だけではなく、「具体的なこういう行動が良かった」「こういう行動が足りなかった」という行動の例を添えてフィードバックすることで、評価される側の納得感や報われ感を高めることができます。
このように、研修で学んだ「具体的な行動を見る視点」を評価制度の運用に活用することで、教育と評価が一貫した育成体制を構築できます。

まとめ:暗黙知の言語化は組織に不可欠

現在のビジネス環境は、「働き方改革」によりマネジャーと部下が同じ空間や時間を共有する機会が昔よりも明らかに減少しています。また、2030年には644万人もの人手が不足すると言われており、今後は「向いていないかもしれない」と判断されていた人材であっても、短期間で一定のレベルに引き上げる仕組みが企業に不可欠です。
「背中を見て学べ」「習うより慣れろ」といった、暗黙知が暗黙知のまま引き継がれる育成方法は、時間のない現代では機能しません。
限られた時間の中で成果を出すには、管理職が自らの「普通、当たり前」を、新人でもすぐに実践できる「再現性の高い行動の言葉」で明確に伝えられる力、すなわち「言語化力」が求められています。
行動科学マネジメント®の導入は、この「やり方を見える化する力」と、「その行動を習慣化させる動機付け」の両方を管理職に身につけさせ、人を育てられる会社だけが生き残るこれからの時代において、組織の競争力を高める鍵となります。

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行動科学マネジメントは、行動分析学に基づいたマネジメント手法で自発的な人材を育成します。具体的な行動分析を通じて、再現性の高い育成方法を学び、部下のモチベーションを高めます。

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