人材育成におけるマネジメントスキルの伸ばし方|必要な能力と研修内容を解説

人材育成におけるマネジメントスキルの伸ばし方|必要な能力と研修内容を解説

目次

「優秀なプレイヤーだったのに、管理職になった途端に成果が出せなくなった」 
「現場のマネジメント不足が原因で、若手の離職が止まらない」

次世代リーダーの育成や管理職のスキルアップは、多くの人事・研修担当者様にとって最大の課題ではないでしょうか。働き方の多様化により、従来のOJT任せの育成だけでは通用しない時代となりました。

本記事では、かんき出版の年間850件以上の企業研修実績をもとに、効果的なマネジメントスキルの伸ばし方を解説します。今求められるスキルの定義から、形骸化させない研修設計のステップまで、貴社の組織力を底上げするヒントをぜひ見つけてください。

人材育成でマネジメントスキルを伸ばすべき理由

人材育成でマネジメントスキルを伸ばすべき理由は以下3つです。

  • 組織の成果につなげるため
  • 次世代リーダー・管理職を育成するため
  • 社員の離職率を下げるため

関連記事:人材育成の課題をどう解決する?効果的な育成方法を事例を交えて解説

組織の成果につなげるため

マネジメントの最大の目的は、チームや組織としての成果を最大化することにあります。

いくら個々の社員が優秀であっても、それを束ねるマネージャーに明確な方向性がなければ、組織としての力は十分に発揮されません。

適切なマネジメントスキルを持つリーダーは、メンバー一人ひとりの強みを見極め、最適な役割分担を行います。その結果、「1+1」が「3」にも「10」にもなり、個の力を超えたチームとしての相乗効果を生み出すことができるのです。

組織全体の生産性を高め、業績目標を達成するためには、個人のスキルアップだけでは不十分です。チームを動かし、成果へと導くマネジメント能力の育成が欠かせません。

次世代リーダー・管理職を育成するため

企業の将来を担う「次世代リーダー」や「幹部候補」は、一朝一夕では育ちません。

現職のマネージャーが部下に対して適切な指導や権限委譲を行い、実践の中で経験を積ませることで、はじめて次のリーダーが育っていきます。

マネジメントスキルには「部下育成」の要素も含まれており、今の管理職が「人を育てる力」を身につけることは、特定の人に依存しない強い組織をつくることにつながります。

これは単なるスキルアップではなく、長期的な事業継続を見据えた、未来への投資といえるでしょう。

社員の離職率を下げるため

離職理由の上位に常に挙がるのが「人間関係」や「上司との関係」です。「この会社では成長できない」と感じたとき、優秀な人材ほど早く見切りをつけて去っていきます。

一方、マネジメントスキルの高い上司のもとでは、状況が大きく異なります。部下一人ひとりのキャリアビジョンに寄り添い、的確なフィードバックを通じて成長を後押しし、安心して意見を言える環境(心理的安全性)を整えることができるからです。

「自分のことをちゃんと見てくれている」「正当に評価されている」——こうした実感は、社員のエンゲージメントを高めます。その結果、離職率の低下と定着率の向上に直結するのです。

マネジメントに必要なスキル

マネジメント業務は多岐にわたりますが、特にチーム運営や人材育成において重要となる7つのスキルについて解説します。

  • リーダーシップ
  • 目標管理能力
  • コミュニケーション力
  • 課題発見・解決能力
  • 傾聴力
  • ティーチング・コーチング力
  • スケジュール管理能力

リーダーシップ

リーダーシップとは、組織のビジョンを明確に示し、メンバーを同じ方向へ導いていく力のことです。

かつては先頭に立って引っ張るスタイルが主流でしたが、近年ではメンバーを支えながら成果を引き出す「サーバントリーダーシップ(支援型リーダーシップ)」も注目を集めています。

スタイルは異なっても、共通して求められるのは以下の力です。

  • チームが向かうべき方向を明確に示す力
  • メンバーの意欲を引き出し、行動を促す力
  • 信頼関係を築き、困難な状況でも決断を下す意思決定力

リーダーシップは生まれ持った資質ではなく、学び、磨くことができるスキルです。

関連する研修:指導力編/チーム強化編/戦略・戦術編「リーダーシップ研修」

目標管理能力

目標管理能力とは、組織全体の目標をチームや個人の目標へとブレイクダウンし、その達成に向けた進捗を適切に管理する能力です。

ここで重要なのは、単に数値目標を割り振ることではありません。「なぜこの目標を達成する必要があるのか」「この目標が会社やチームにとってどんな意味を持つのか」をメンバー一人ひとりに腹落ちさせ、主体的に行動できるよう動機づけを行うことが求められます。

さらに、一度設定した目標を固定的に捉えるのではなく、市場環境や社内状況の変化に応じて柔軟に修正する判断力も必要です。目標未達の兆候が見えた際には、原因を分析し、リカバリー策を迅速に打ち出す。こうしたPDCAサイクルを回し続ける力こそが、成果を出し続けるマネージャーに欠かせないスキルです。

関連する研修:評価者向けマネジメントスキル研修

コミュニケーション力

ここでのコミュニケーション力とは、主に「伝える力」と「調整する力」を指します。

経営層の方針を現場のメンバーが理解しやすい言葉に翻訳して伝えたり、利害が異なる他部署との折衝を円滑に進めたりする能力が求められます。

また、部下に対しては一方的に指示を出すのではなく、相手の立場や状況を踏まえて納得しやすい伝え方を工夫することが大切です。自分の意見を率直に伝えながらも相手を尊重するスキルは、信頼関係の構築と円滑な業務遂行に欠かせません。

関連する研修:対話型マネジメント研修

課題発見・解決能力

課題発見・解決能力とは現状を分析し、あるべき姿と現状のギャップから課題を特定し、解決への道筋を描く能力です。

マネージャーには、トラブルが顕在化してから対処する「事後対応」だけでなく、潜在的なリスクや業務プロセスのボトルネックをいち早く察知し、問題が大きくなる前に手を打つ必要があります。

このスキルの土台となるのが、論理的思考(ロジカルシンキング)です。感情や勘に頼らず、事実やデータに基づいて状況を整理し、筋道を立てて判断することで、チーム全体が納得できる解決策を導き出すことができます。

関連する研修:正しさを導く「疑う思考研修」

傾聴力

傾聴力とは、部下の話に耳だけでなく心も傾けて深く理解しようとする姿勢です。単に情報を受け取るだけでなく、相手の感情や言葉の背景にある意図まで汲み取る「アクティブリスニング(積極的傾聴)」が求められます。

上司が真剣に話を聞いてくれると、部下は「自分は尊重されている」と感じ、信頼関係が深まります。その結果、チーム内に心理的安全性が醸成され、悪い報告や率直な意見も早い段階で共有されるようになります。

関連する研修:信頼関係を築くための「聴く力向上研修」

ティーチング・コーチング力

ティーチングは、業務知識や具体的なやり方を教え、正解を提示するアプローチです。経験の浅い社員や新しい業務に取り組む場面で効果を発揮します。

一方、コーチングは、問いかけによって相手自身の考えを引き出し、自発的な気づきを促すアプローチです。ある程度の経験を積んだ中堅社員や自律的な成長を促したい場面に適しています。

「何も分からない新人にはまず教える。考える力がついてきたら問いかけて引き出す」のように、相手の習熟度や状況に応じて両者を柔軟に使い分けることで、部下の成長スピードを大きく加速させることができます。

関連する研修:“できる社員” を育てる「教える技術」

スケジュール管理能力

スケジュール管理能力とは、自分自身のタスクだけでなく、チーム全体の業務と時間を俯瞰して管理する能力です。

誰がどの業務を担当し、現在どの程度進んでいるのかを正確に把握することで、特定のメンバーに負荷が集中しないようリソースを適切に配分(アサイン)できます。

さらに、突発的な業務や予期せぬトラブルが発生した際には、優先順位を素早く整理し、納期を守りながら品質も担保する判断が求められます。

関連する研修:時間を生み出す「タスクマネジメント研修」

マネジメント力向上につながる研修の内容

マネジメントスキルを効果的に習得させるには、対象者の役割や経験、育成目的に応じた研修設計が欠かせません。ここでは、多くの企業で採用されている代表的な研修内容をご紹介します。

関連記事:人材育成に研修は必須?研修の始め方や内容、外部へ依頼する際のポイントを紹介
関連する研修:マネジメント・リーダーシップ関連の研修一覧

階層別研修

階層別研修とは、役職や年次ごとに求められる役割に応じて実施する研修です。

  • 新任管理職研修:プレイヤーからマネージャーへの意識転換、マネジメントの基礎知識、労務管理の基本などを学びます。
  • 中級管理職研修:チームビルディング、部下育成(コーチング)、リスクマネジメントなど、組織運営に必要なスキルを強化します。
  • 上級管理職研修:経営戦略の立案、組織変革の推進、ビジョン策定など、経営視点でのマネジメント力を養います。

それぞれの階層で直面しやすい課題に焦点を当てることで、段階的かつ着実なスキルアップを実現します。

テーマ別研修

テーマ別研修は、全社的な課題の解決や、特定のスキル強化を目的として実施する研修です。役職や年次に関係なく、階層を横断して行うケースもあります。

  • コミュニケーション研修:アサーティブな伝え方や、1on1ミーティングの効果的な進め方などを学びます。
  • ハラスメント防止研修:コンプライアンス意識を高め、現代のマネジメントに欠かせない知識を習得します。
  • DX・IT活用研修:業務効率化に向けたデジタルツールの活用法やデータ分析の基礎を身につけます。
  • コーチング・フィードバック研修:部下やメンバーの主体性を引き出すコーチングの考え方と、成長を促す建設的なフィードバックの伝え方を習得します。
  • 目標設定・評価者研修:組織・個人の成果につながる目標設定の方法と公平で納得感のある評価を行うための視点やスキルを学びます。
  • ファシリテーション研修:会議やワークショップを円滑に進め、建設的な議論を引き出す技術を身につけます。

テーマ別研修は、特定の弱点を補強したいときや時代の変化に対応した新しい知識を組織全体にインプットしたいときに適しています。

職種別研修

職種別研修とは、職種や部門ごとの専門性に特化したマネジメント研修です。

  • 営業マネージャー向け:営業戦略の立案、数値管理、部下のモチベーション向上など
  • 技術職マネージャー向け:プロジェクトマネジメント、技術・ノウハウの継承、品質管理など。

職種特有の業務フローや現場の文化に即した実践的な内容を学ぶことで、研修後すぐに活かせるスキルが身につきます。

効果的な研修の始め方

「とりあえず研修を行う」だけでは成果につながりません。以下の5つのステップで計画的に進めることが成功の鍵です。

  • 人材育成の課題を洗い出し研修の目標を立てる
  • 研修対象者を決める
  • 研修の内容を決める
  • 研修の成果を振り返る

マネジメント人材育成の課題を洗い出し研修の目標を立てる

まずは自社の現状を正確に把握することから始めましょう。「管理職のリーダーシップ不足でチームがまとまらない」「若手の離職率が高い」といった具体的な課題を洗い出します。

課題が明確になったら、「研修を通じて受講者にどのような変化を起こしたいのか」を言語化し、達成すべきゴール(KGI/KPI)を設定します。目標が曖昧なままでは、研修の効果測定も難しくなるため、この段階での明確化が研修成功の土台となります。

研修対象者を決める

「誰に」受講させるかを決定します。全管理職を対象にするのか、新任マネージャーに絞るのか、あるいは特定の課題を抱える部門を対象にするのか。

対象者のレベル感や経験値がバラバラだと、研修内容が一部の人には物足りなく、別の人には難しすぎるという事態が起こり、効果が薄れてしまいます。ある程度ターゲットを絞り込むか、習熟度別にクラス分けを行う工夫が必要です。

研修の種類を決める

目標と課題に応じて、最適な研修手法を選定します。

  • OJT(職場内訓練):実務を通じて直接指導する方法です。即効性がある反面、指導者のスキルや経験によって効果にばらつきが出やすい特徴があります。
  • Off-JT(職場外訓練):集合研修や外部セミナーなど、現場を離れて行う研修です。体系的な知識やフレームワークを学ぶのに適しています。
  • eラーニング:時間や場所を選ばず、自分のペースで学習できる方法です。知識の定着確認や、研修前後の予習・復習に効果的です

それぞれに強みと弱みがあるため、単独で用いるよりも複数を組み合わせる「ブレンディッド・ラーニング」が効果的です。例えば、eラーニングで基礎知識をインプットした後、Off-JTで実践演習を行い、OJTで現場定着を図るといった設計が考えられます。

研修の内容を決める

カリキュラムの詳細を詰めるとともに、外部講師を招くのか、社内講師で行うのかも決定します。座学だけでなく、ロールプレイングやグループワーク、ケーススタディなどを取り入れることで、知識を「実践できるスキル」へと昇華させることができます。

また、自社の事例を題材にすると、受講者がより自分事として捉えやすくなります。

研修の成果を振り返る

研修は「やりっぱなし」にしないことが最も重要です。研修直後のアンケートだけでなく、数ヶ月後に「行動変容が起きたか」「現場の成果につながったか」を追跡調査しましょう。

上司や部下からのフィードバック(360度評価など)を活用し、効果が見られない場合はカリキュラムを見直すなど、次回の研修に向けてPDCAを回し続けることが大切です。

関連記事:やりっぱなしにしない!研修効果を見える化するための測定方法とは?
関連資料:研修の効果測定 3つのポイント

研修でマネジメントスキル向上を図った事例

太陽生命保険様 では、コロナ禍のリモートワーク普及に伴い、社内のコミュニケーション不足が深刻化していました。特に若手社員の孤立や育成の遅れが懸念され、離職リスクの高まりが組織全体の課題となっていました。

そこで同社は、対話の質を高めるため「1on1ミーティング」を導入し、管理職を対象とした専門家による研修を実施しました。研修では単なる面談手法だけでなく、部下が話しやすい環境を作るための傾聴スキルや、具体的な会話の展開方法を実践的に指導し、現場での定着を図りました。

その結果、上司と部下の信頼関係が深まり、心理的安全性の高い職場環境が醸成されました。具体的な成果として、新入社員の離職者数が導入初年度の10名から翌年には4名、さらにその翌年には0名へと劇的に減少し、定着率の大幅な改善を実現しました。

関連事例:1on1ミーティングの研修プログラムを持続的に活用して社員定着率の向上を実現/太陽生命保険株式会社

まとめ

マネジメントスキルの向上は組織の未来を左右する重要な投資です。リーダーシップや傾聴力、目標管理能力といったスキルは、適切な研修と現場での実践を繰り返すことで着実に高めていくことができます。変化の激しい時代だからこそ、管理職がチームを導き、部下が安心して成長できる環境を整えることが、企業の持続的な発展には不可欠です。

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