マインドフルネスとは?ビジネスパーソンに求められる理由と効果

マインドフルネスとは?ビジネスパーソンに求められる理由と効果

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マインドフルネスが最高の人材とチームをつくる ――脳科学×導入企業のデータが証明!マインドフルネスとは、「今をあるがままに注意を向けている状態」を指します。もともとは仏教用語でパーリ語「サティ」の英訳です。1970年代に医療の領域に応用され、科学的に心身への有用性が認められ、世界中に広まるようになりました。さらに脳科学の分野でも、心身の健康、集中力、創造性、自己認識力の向上などの効果が認められ、医療のみならず、トップアスリートやエグゼクティブのメンタルマネジメントも活用されるようになり、グーグルのリーダーシップトレーニングにも応用されたことからビジネスにも広く浸透し、人材育成・リーダーシップ・組織開発の基盤づくりとしても多くの企業で採用されています。
本コラムでは、拙著『マインドフルネスが最高の人材とチームをつくる―脳科学×導入企業のデータが証明!』から、企業でマインドフルネスが必要な背景、マインドフルネスがもたらす効果などをお伝えします。研修導入をご検討の方もぜひお読みください。

マインドフルネスが企業研修で広まった背景

現在、日本企業の9割が人材不足を感じていると言われています。成果を上げるために、やるべき仕事の量は変わらない、もしくは増えている状況であり、一人ひとりの生産性を高めることが求められています。組織のトップは、従業員の負担を軽減するために、就業時間を短縮したり、福利厚生を充実させてみたりと様々な「働き方改革」に取り組んでいますが、状況はあまり変わってはいないのではないでしょうか。それどころか、就業時間に終わらなかった仕事を自宅に持ち帰り、オン/オフの切り替えができずにダラダラと働き続けてしまい、パフォーマンス低下に陥っているところもあります。
常に成果を出し続けなければならないビジネスパーソンが心身ともに追い詰められる状況は海外でも同様です。そこで、真っ先にマインドフルネスに注目したのが、常に時代を先駆けた取り組みを続けている米グーグルです。以降、マイクロソフト、インテル、米ヤフー、フォード、フェイスブック、リンクトイン、ゴールドマン・サックスなど、世界に名だたる企業がマインドフルネスをベースとした人材開発プログラムを導入していきました。
マインドフルネスと聞くと、瞑想をイメージする人が多いのですが、瞑想はマインドフルネスになるための手段の一つにすぎません。マインドフルネスとは、「今、この瞬間」に注意を向けた心の在り方のこと。そうした心の状態を保つことで、目の前のことに集中して取り組む力、「今に」集中したときに立ち上がってくる気づきを得ることできます。
過去でも未来でもなく、「今、この瞬間」に向き合うことで、ビジネスの分野で次のような効果があると報告されています。
・注意力・集中力が高まる
・感情のマネジメント力が高まる
・自己認識力が高まる
・創造力が高まる
・ストレスが改善され、レジリエンス(回復力)が高まる
・リーダーシップが向上する
・無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に気づきやすくなる
・アンガーマネジメント(怒りをコントロールするスキル)の質が高まる
・コミュニケーションが円滑になる
・EI(Emotional Intelligence:感情知性、心の知能)が高まる

一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート(MiLI)で企業へのマインドフルネス導入を支援しています。ヤフー(日本)、リクルート、パナソニック、Sansanなど2022年10月時点で約400社以上に導入しています。
マインドフルネスにより組んでいるリーダーは、「感情的な反応が減り、部下が委縮しなくなり、部全体の生産性が上がった」「部下のしっかりと意識を向け、話を聞くことの重要性を知った。部下が率先してイキイキと動くようになった」「毎回もめていたメンバー同士が、お互いに理解しようと歩み寄り、相手の話を聞く姿勢を身につけ始めた」などと効果を語っています。マインドフルネスでリーダーが変化を遂げることで、現場の雰囲気が変わり、職場全体がイキイキと活気づいていくように変わります。

マインドフルネスでビジネスパーソンのOSをアップデートしよう

多くの企業では、ロジカルシンキングなどのビジネススキル、コミュニケーションスキル、時間管理、人材管理、チームビルディングなどのアプリケーション的なビジネススキル開発は行っています。しかし、どんなにすばらしいアプリを導入しても、OSが最適化されていなければうまく動作しません。OSとは、その人の持つ感情や思考のことです。ストレスでイライラして感情が乱れていたり、多すぎるタスクのために思考が散漫になったりすると、身につけたビジネススキルをうまく発揮できません。アプリケーションがうまく作動するかどうかは、OSの状態にかかっているのです。
自分の感情や思考を意識しない人は、部下の感情や思考にも意識を向けられません。いまのビジネスパーソンに必要なことは、マインドフルネスで「気づきの力」を深めることです。自分自身のOSの状態を知り、自らコントロールできるようにバージョンアップすることが大切です。 

3.マインドフルネスが導入されない6タイプの組織

①誤解している

マインドフルネス=瞑想、瞑想=宗教といった誤解や思いこみを持った人も多く、誤解を恐れてマインドフルネス導入の提案ができないと考える人がいます。ルーツは仏教ではありますが、長年科学的に検証され、人々の健全な心身を実現しているという事実が多数報告されています。事実を知らずに、新しいことに興味を持って調べない企業ではマインドフルネスは進みません。

②忙しすぎる

リーダーの多くがプレイングマネジャーです。忙しい会社こそ、「今、この瞬間」に注意を向けて、集中力や心身の健康を高めるためのマインドフルネスを採り入れる必要があります。

③人材育成に熱心ではない

社員の労働環境への投資を後回しにするのは、人材育成に対する感度が低いということでもあります。この先、自社にはどういう人材が必要なのか、社員に幸せに働いてもらいためにはどんな職場を目指すべきなのかを考える必要があります。人材育成に熱心ではない組織は、社員のウェルビーイングを維持する努力を怠るため、人がなかなか居つかず、辞めていく傾向があります。

④後追い型

マインドフルネスに高い関心を示す企業は、新しいものにすぐに興味を持って、革新的な経営を目指す傾向にあります。業界の中でどんどん新規性を打ち出し、イノベーションを起こしています。経営トップの後追いの姿勢は会社のカルチャーになり、時代に取り残される可能性があります。

⑤理解できないものを拒絶する

過去の成功体験にしがみつくと新しい可能性が視野に入りません。新しいものに出会うと、これまでに培ってきたフレームに当てはめて処理しようとし、自分のフレームで処理できないと「必要ない」と拒否反応を示します。もし、上司がこのような状態であるとすると、イノベーションの芽を摘んでいると言えるでしょう。

⑥意思決定が遅い

ガチガチのヒエラルキー型の組織は、承認プロセスが複雑で、上層部の意思決定が遅くなります。変化のスピードが速いVUCA時代には、着手が遅いことは命取りです。「今、この瞬間」を認識できている企業は変化への対応力の重要性に気づいています。

マインドフルネスが組織にもたらす4段階の変化

①個人の人材力の向上

注意力、集中力、クリアな心を頭の平静さなどが得られる
マインドフルネスの基礎となる瞑想では、「自分の呼吸に注意を向ける→注意がそれたことに気づく→それた注意を再び呼吸に戻す→また注意がそれたことに気づく・・・」というサイクルを重ねて、注意と集中力を強化していきます。トレーニングを積んで、この状態を継続できるようになると、仕事から注意がそれたことに気づけるようになり、仕事に戻るようになり、作業効率が上がっていきます。

②個人のリーダーシップの向上

自己認識力、自己管理力、内省力、自己肯定感などが得られる
マインドフルネス瞑想の一つ「ボディスキャン」では、「今、この瞬間」の自分の身体反応を、批判なく、じっくりと観察するトレーニングを行います。自分の状態に気づく自己認識力が高まるため、湧き上がってくるネガティブな思考や感情に気づきやすくなります。自己認識力が高まった結果、自分が不安・不快になっていることやその原因を認識できると、無意識に湧き上がってくる不安・不快感から解放されるようになり、レジリエンスが高まります。
自己認識力を高めて自分を深堀りすると、自分が何に対してワクワクするかが分かり、自分がどう生きたいか、何を目指したいかという内発的動機が見えてきます。

③関係性の向上

共感、コミュニケーション、他者理解、協働へつながる
自分自身に対する気づきの力=自己認識力が向上すると、自分自身の内側で起こっている批評、批判、評価、判断に気づくようになります。他者に対する評価は、他者をあるがままに受け入れることを妨げ、その人と良質な人間関係を築くことができません。
相手の話をあるがまま聴くことの必要性、自分の勝手な思い込みや固定観念(アンコンシャス・バイアス)に気づくことができ、その結果、共感が生まれやすくなり、より深い他者理解へとつながります。

④組織力の向上

思いやり、信頼に基づいた組織開発
マインドフルネスで高めた自己認識力を部下に対して向けることで、部下の気持ちを汲み取り、理解できるようになります。部下の辛さや苦しみに共感し、そこから「この部下のために自分ができることは何か?」と考えるコンパッション(思いやり)が芽生えるようになります。コンパッションのあるチームは、心理的安全性のあるチームでもあり、部下が主体性を発揮してイキイキと活躍し始めます。
このように、組織にマインドフルネスを導入し、仕事を通じて自己実現を行える心理的安全性のある組織をつくることで、人々は健康的に、積極的に、仕事を楽しめるようになり、持続可能な組織運営につながります。

マインドフルネスを活用した企業研修

①リーダーシップ研修
リーダーにとっての必須能力である自己認識力を高め、自分の内発的動機の源泉に気づき、自らの価値観、使命感によって、チームを導くリーダーシップを開発する。

②マネジメント研修
管理職として、部下のモチベーションを高め、共感力に基づいた関係性を築き、チームの力を最大化するためのマネジメント力を開発する。

③モチベーション研修
自分自身の内面をよりクリアに知るための自己認識力の向上を図りつつ、自燃型、自律型人材の基盤となる内発的モチベーションの源泉を発見し、そのモチベーションを習慣化する。

④セルフマネジメント研修
マインドフルネスにより自己認識力の向上を図ることで、自分の資質や衝動的反応、感情のパターンを理解し、怒りなどの感情のマネジメントや自分自身を律する能力を高める。

⑤自己認識力研修
リーダーシップ、セルフマネジメント、メンタルヘルスの基盤となるための自己認識力(自分自身を深く知る力)を高めるための理論と実践を習得する。

⑥レジリエンス研修(健康経営/ウェルビーイング)
心の回復力とも呼ばれ、モチベーションの維持やメンタルヘルス、ストレスマネジメントの基盤ともなるレジリエンスを高めるための理論と実践を習得する。


企業でマインドフルネスが必要な背景、マインドフルネスがもたらす効果などをお伝えしました。組織にマインドフルネスを導入し、仕事を通じて自己実現を行える心理的安全性のある組織をつくることで、人々は健康的に、積極的に、仕事を楽しめるようになり、持続可能な組織運営につながります。研修導入をご検討の方はお問い合わせください。


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