どんな相手にも正しく伝わる!勘違いをなくす説明術

どんな相手にも正しく伝わる!勘違いをなくす説明術

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「丁寧に説明したのに、何が言いたかったの?と言われてしまう」「自分の意図とは異なるニュアンスで相手に伝わってしまう」など、ビジネスにおいて「伝わらない」経験をしたことがある方は多いことでしょう。話し方や書き方のスキルだけではなく、相手の状況を理解した上で話す内容を工夫する必要があります。
本コラムでは、深谷百合子氏の著書『賢い人のとにかく伝わる説明100式』から、勘違いや行き違いがなくなる説明、いろいろな相手に対する伝え方、わかりやすい説明の組み立て方を抜粋して解説します。説明力向上のための研修プログラムも提供していますので、研修導入をご検討の方もぜひお読みください。

ビジネス上での説明における課題

「丁寧に説明したのに、何が言いたかったの?と言われてしまう」
「自分の意図とは異なるニュアンスで相手に伝わってしまう」
「時間をかけて資料を作ったのに、ダメ出しが多くて、やり直しが多い」
「わかってもらいたくて、説明すればするほど、相手をイライラさせてしまう」

自分の説明が相手にうまく伝わらないと、自分のスキル不足が原因だと思い、説明力を高めるために、話し方や書き方のスキルを高めようと努力している人も多いのではないでしょうか。しかし、自分と相手の間に「どのような橋をかけるか」という「手段」ばかりでは、説明上手になることはできません。

説明上手になるためには、まず「観察する」ことが必要です。相手をよく観察し、自分と相手の間にある「差」を知り、相手はどのような状況なのか、何を聞きたいと思っているのか、どうなりたいと思っているかなど、説明の「土台」となる情報を把握します。その「土台」を築いた上で、「スキル」を用いて説明すると、効率よく相手に伝えられるようになるのです。

勘違い・行き違いがなくなる説明

相手の聞きたいことをヒアリングしてから説明する

自分の伝えたいことだけ伝えて、相手の聞きたいことを伝えないと、相手に行動してもらえません。具体的に何を聞きたいと思っているのかを先に把握してから説明することで、相手に理解してもらうことができ、相手に行ってほしい行動促進にもつながります。

「伝えたこと」と「受け取ったこと」は同じか?

「伝わる」の第一歩は、自分の伝えたことと、相手が受け取ったことのイメージが共有できていることです。もしも、相手の頭の中に具体的なイメージが浮かんでいなかったり、自分とは違うイメージを抱いていたりしたら、勘違いや行き違いが起こります。
説明するときには、相手が具体的にイメージしやすい言葉を選び、説明を終えたら、相手がイメージした内容を相手の言葉で話してもらうようにしましょう。

イメージの解像度を上げる言葉
①「つまり、○△ということです」
②「例えば」「例えるとしたら」
③「具体的には」「詳しく言うと」

ほかの言葉に置き換えたり、例や具体的なエピソードを用いたりすることで、イメージの解像度を上げることができます。

形容詞や副詞ではなく、「事実」「数字」を使う

「少し遅れます」と伝えた場合、自分は10分のつもりでも、相手が2~3分だと思っていたら、相手はイライラすることでしょう。それは、「少し」の解釈は人により異なるからです。
「きれい」「赤い」「大きい」「高い」などの形容詞や、「すごく」「ほとんど」「少し」などの副詞は人により解釈がバラバラなので、行き違いが起こりやすくなります。ビジネスでは誤解が生じると、仕事が遅延するだけではなく、信頼も失います。「事実」や「数字」を使って、誰もが同じ解釈ができるよう伝えましょう。

指示や要求は具体的な動作レベルの言葉を使う

言葉が抽象的だと、受け取る人によっても解釈がバラバラになってしまいます。例えば、「社内のコミュニケーションの活性化を図る」という目標が掲げられたとしても、具体的に何をすればいいのか、人により解釈が異なるでしょう。「活性化された」とは具体的にどのような状態か、コミュニケーションとは何をするのかを明確にする必要があります。「月1回、テーマを決めて、各部門から1名以上参加してもらう座談会形式の交流会を実施する」と表現することで、具体的に何をすればいいのかがわかります。

語順であいまいさを排除する

「眼鏡をかけた子供を連れている女性」と言われたときに、「眼鏡をかけている子供」なのか「眼鏡をかけた女性」なのか、どちらの意味にも受け取ることができます。修飾語はすぐ後ろの言葉にかかるよう解釈されることを意識して、語順を変えることで、正しく意味が伝わるようになります。

いろんな相手に合わせた伝え方

相手のレベルに合わせて言葉を使い分ける

説明することの目的は、相手が内容を理解し、何らかの行動を起こしてくれることです。よって、説明は、自分の言いたいことを伝えるのではなく、相手の聞きたいことを伝えます。相手に正しく理解してもらえるよう、基本的には「中学生にもわかる言葉」を使い、専門用語はなるべく避けましょう。多様化も進み、外国人と接する機会も増えてきますので、相手に合わせて、相手が理解しやすい言葉を選びます。

複雑なことは分解してから、似たようなものに置き換える

一言でわかりやすい言葉に例えることができない専門用語は、その内容を構成する「要素」に分解してから、それぞれの要素を身近なものに例えます。最終的に何が伝わればいいかを考えて、説明する内容を考えます。

サイズ感は皆がよく知っているもので伝える

ビジネスで伝えるときは、よく数字を使うように言われます。「人が大勢集まった」よりも「人が1000人集まった」の方がわかりやすいです。しかし、「煙突の高さが22mです」と言われても、どのくらいの高さなのかイメージしづらい場合もあります。そのようなときには「22mは7階建ての建物の高さです」と誰にでもイメージしやすい表現で、サイズ感を伝えます。

わかりやすい説明の組み立て方

説明は「大」から「小」へ

説明するときに、「説明の順序」を考えることも大切です。「これからこんな話をします」という大まかな全体像を最初に示します。新聞やニュースでも必ずタイトルや見出しがあるので、本文を読まなくても、大まかな内容を把握できます。説明するときには、いきなり具体的な細かなことを話し始めるのではなく、これから伝えようとする話の全体像や目的を最初に伝えましょう。ちなみに説明を終えるときには、「小」から「大」で話しを締めます。

「事実」が先、「私見」があと

ビジネスパーソンにとって「報・連・相」は基本です。報告、連絡、相談する際には、まず「事実から伝える」ことを意識します。ビジネスでは、事実が判断材料になるため、私見を言われても、判断に困ります。自分の意見を伝えるときには、「ここからは私見ですが」と前置きした上で説明します。どこまでが「事実」で、どこからが「私見」なのかがわかると、相手も理解しやすくなります。ただし、意見を求められた場合は、「私見」を先に伝えましょう。

話のボリュームを最初に示す

説明する際に、相手に聞く体勢になってもらうことが大切です。「いくつの内容を話すのか」を示し、相手の頭の中に「受け皿」をつくってもらいます。最初に「○つあります」と伝えておけば、相手も話を整理しながら聞くことができます。


著書『賢い人のとにかく伝わる説明100式』から、勘違いや行き違いがなくなる説明、いろいろな相手に対する伝え方、わかりやすい説明の組み立て方を抜粋して解説しました。書籍には、100個のポイントを紹介していますので、もっと深く学びたい方は、書籍をお読みください。
さらに説明力を強化する研修プログラムも用意しています。相手に伝わらずに、「行き違い・勘違いが多い」「トラブルに割く時間をなくしたい」など課題を抱えている企業様は、「かんき出版の社員研修」までお問い合わせください。

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