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「文章を書くのに時間がかかる」「文章の組み立て方がわからない」「支離滅裂な文章になってしまう」「『それで何がいいたいの』と言われてしまう」など、多くの人が文章の作成において悩みを抱えています。報告書、企画書などのビジネス文書だけではなく、今のビジネスシーンでは、メール、チャット、SNSなど文章を書く機会が増えました。だからこそ、ビジネスライティングのスキルを身につける必要があるのです。文章をうまく書けないことで、仕事の効率や生産性が下がります。誤解を招く文章を書くと、トラブルやミスに繋がります。
本コラムでは、拙著『世界一ラクにスラスラ書ける文章講座』から、テンプレートを用いた文章の書き方を紹介します。これらの内容はビジネスライティング研修でもお伝えしています。研修導入をご検討の方もぜひお読みください。
テンプレートを使って、文章をラクに書こう
「思いつくままに書いてしまう」「なんとなく時系列に書いてしまう」という書き方は、伝わらない文章に見られる顕著な傾向です。文章を書くときに意識すべきことは「読む人が受け取りやすい順番に書く」ことです。料理に「どの順番でどのように作るか」レシピがあるように、文章にも「どの順番でどのように組み立てているか」のレシピがあります。文章作成も料理と同様に、素材があっても、組み立て方を知らなければ書くことはできません。文章の作り方のプロセスを記したレシピ=テンプレートを用いることで、悩まずに文章を書くことができます。
「起承転結」の呪縛からサヨナラしよう
文章作成のテンプレートというと「起承転結」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。起承転結の使い方の一例を挙げます。
起:事実や出来事を書く。
承:「起」の内容に解説を加える。「起」によって起こる問題点や、書き手の感想・意見を書く。
転:「起」と「承」とは関係のない別の事柄を持ち出す。
結:全体を関連付けてまとめる。
起承転結は、もとをたどると漢詩の構成であり、日本語の文章には適しているとは言い難い面があります。「転」であえて話を急展開させなければいけないと制約があったり、文章が読み流されがちな超情報化社会において、結論を後回しにしたりと、ビジネスシーンではあまり適しません。
テンプレートを使う前に確認すべき5つのポイント
①その文章を書く目的は何?
②読む人は誰か?
③読む人のニーズは何か?
④読む人にどんな反応をしてもらいたい?
⑤読む人の知識レベルはどうか?
ビジネスで役立つ3つのテンプレート
世の中にはたくさんテンプレートが存在します。仕事で活かせる3つのテンプレートを紹介します。
テンプレート① ストレスフリーで読める「列挙型」
手持ちの情報をポイント別に伝えるテンプレートです。複数の情報を整理して伝えたいときに有効です。
列挙型の最大の特徴は「A 全体像を伝える」ことです。文章の冒頭で、「何を」「いくつ」伝えるかを明確にすることで、読む人は、続きの文章の行先を把握することができ、理解度が高まります。
次は伝えるべき事柄を一つひとつ伝えていきます。列挙する冒頭で、伝えたいメッセージを簡潔に述べます。「ひとつめですが、~」という書き方はNGです。この「が」は意味がありませんし、その後の文章がダラダラしやすく、結論が先延ばしになることがあります。「ひとつめは、~」と書きましょう。
最後はまとめです。列挙ポイントの総括をする意識が必要です。列挙ポイントを俯瞰し、それぞれの傾向や共通点を見つけ出し、抽象化してまとめましょう。
テンプレート② ぐんぐん納得度が高まる「結論優先型」
自分が最も伝えたいポイントに絞って伝えるテンプレートです。読む人に納得してもらいたいときに用います。何かをアピールしたいとき、報告・連絡したいとき、あるいは反対したいときなどに役立ちます。
結論優先型は、真っ先に結論を示したうえで、その結論についての見解を詳しく書き進めます。冒頭で、ズバっと結論を伝えてから、「なぜその結論を示したのか?」の答えにあたる理由を書き、さらに結論の説得力を高めるための具体例や詳細を続けます。
結論で興味を引き、客観的な事実を盛り込んだ理由・根拠で説得力をもたせ、具体例で情緒を伝えます。理由・根拠がロジックなのに対し、具体例はエモーションです。論理と情緒で、読み手の納得を促進します。
さらに、情報は取捨選択し、読む人が理解しやすい順序で書かなければいけません。読んだ人に「何が言いたいの?」と思われてしまう文章はNGです。結論優先型を用いると、相手に伝わる文章が書けるようになります。
テンプレート③ 共感が生まれる「ストーリー型」
エピソードを語って伝えるテンプレートです。理屈ではない熱い思いや感動が伝わり、読み手の記憶に残ります。読む人の共感を得たいときに使います。
何かしらのエピソードを、読む人の共感を得る目的で表現していく、“ドラマ仕立て”の型です。冒頭で主人公のマイナス(好ましくない状態)を描いたのち、その主人公に訪れる転機、その後の進化・成長を加え、ハッピーエンドへと向かう流れです。ストーリー型の文章は、右肩上がりの感情のラインになります。最初から最後までずっとプラス、あるいはずっとマイナスの平坦な展開では共感しにくく、心はあまり動きません。マイナスを克服した成長プロセスがあるからこそ、鮮やかに光り輝くのです。ストーリー型は、お客様の体験談を伝えたり、自分の体験談を用いて部下を説得したり、企業のトップが会社のビジョンや理念を浸透させるシーンなどで活用できます。
リモートワークやオンライン会議などが増えてきたこともあり、仕事でメールやチャットを使う機会が今まで以上に増え、ビジネスパーソンの「書く能力」の重要性はますます高まっています。ところが、文章での伝え方が下手なために、成果を出せない人が少なくありません。社会に出てから文章の書き方を学ぶ機会はほとんどないために、多くの人が我流で「伝わらない文章」を書き続けてしまうのです。ビジネスライティング研修で、テンプレートを活用した文章の書き方を学ぶことで、誰にでもわかりやすく伝えることができ、ミスコミュニケーションやトラブルの防止に繋がります。
研修導入をご検討の方はお問い合わせください。