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2024年1月16日、ダイヤモンド・コンサルティングオフィス合同会社 代表の山藤祐子氏によるオンラインセミナー「ハラスメント未然防止の秘訣とは?」を開催しました。
セミナーでは、ハラスメントを“起きてから対処する”のではなく、組織として未然に防ぐための考え方と打ち手を整理していただきました。
以下に、セミナー内容の一部をご紹介します。
パワハラをはじめとするハラスメント対策に課題を感じている企業様は、課題解決のヒントになります。講師自らが解説いたします。
視聴期限:2026年6月30日(火)17:00まで
お申込み・詳細は【セミナー詳細・申込ページへ】
はじめに:なぜ今、「未然防止」が重要なのか
皆さまの現場でも、
・「指導したいが、ハラスメントと言われるのが怖い」
・「何がアウトで、どこからが指導なのか線引きが曖昧」
・「相談窓口はあるが、運用が難しい」
といった声は増えていないでしょうか。
本セミナーで強調されたのは、こうした混乱の多くが“知識の不足や誤解”から生まれ、職場のハラスメントが職場の空気を悪化させるという点です。
だからこそ、未然防止の第一歩は「個人の善意」ではなく、組織としての共通言語づくり(研修)と、言える仕組みづくりにあります。これは実効性あるハラスメント対策の土台でもあります。
1.ハラスメント対策研修が求められる背景:誤解が生む萎縮と離職
山藤氏は「ハラスメント対策研修が必要な理由」として、職場で起きがちな“誤解の連鎖”を整理しました。ここでいう研修とは、単なる注意喚起ではなく、“線引きと共通言語”を揃える役割を担う点がポイントです。
- ハラスメントに対する認識に誤解が多い
- 誤解があるため、「嫌だと感じたら=ハラスメント」と思い込む人が増える
- 指導側の当事者意識が低く、「自分の指導方法は正しい」と思い込みやすい
- 「ハラスメントと言われるのが怖い」ことで、言うべきことが言えない
- 誤解が解けないまま仕事が進まず、職場の空気が悪化し、離職につながる
さらに、誤解の背景には「正しい知識の不足」「上司側/部下側それぞれの思い込み」「コミュニケーションの行き違い」「放置」が重なりやすいことも示されました。
未然防止は、ここを断ち切る取り組みだと言えます。
2.パワハラを共通言語化する:3要件+6類型
ハラスメント(とくにパワーハラスメント)への対応で重要なのは、感情論ではなく「共通言語」で整理することです。セミナーでは、パワハラを3つの条件(3要件)で捉え、さらに典型的な6類型を確認しました。
パワーハラスメントの3要件
(1)優越的な関係を背景に
(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により
(3)労働者の就業環境が害されるもの
加えて、典型6類型(身体的攻撃、精神的攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害)を押さえることで、社内での判断基準が揃いやすくなります。
また、行為者と被害者の関係は「上司→部下」だけではなく、同僚間や「部下→上司」も起こり得る点が示されました。
“管理職だけの問題”にしないことが、全社的なハラスメント対策設計のポイントです。

3.グレーゾーンは「必要性・相当性」で見立てる
パワハラと適切な指導の差が出やすいのが「業務上必要かつ相当な範囲」の見立てです。

セミナーでは、範囲を超える例として次の観点が整理されました。
- 業務上明らかに必要のない言動
- 業務の目的を逸脱した言動
- 業務を遂行する手段として不適当な言動
- 回数・人数が社会通念上、明らかに許容範囲を超える言動
さらに「許容範囲を超えたかどうか」は、目的・経緯・状況、業務の性質、態様・頻度・継続性などを含め、複数の要素を総合して判断する考え方も示されています。
ここを共通言語化しておくと、現場は「パワハラにならないように黙る」のではなく、“指導として適切か”を軸に改善しやすくなります。
4.セクハラは「意に反する」が出発点:判断基準を押さえる
セミナーでは、セクシュアルハラスメントを「職場における労働者の意に反する性的な言動」であり、拒否・抵抗による不利益や、就業環境の悪化につながるものとして整理しました。
対象は「すべての働く人」であり、同性同士も含まれる点も明確に示されています。
また、判断にあたっては、頻度・内容・地位・関係性・不快感の程度、反復性・継続性、過去事例や判例との類似性などを踏まえて見立てる考え方が提示されました。
「これくらい大丈夫」という思い込みは、相手も同じとは限りません。セミナーでも“行き過ぎると問題になり得る”という注意が示されています。
5.相談対応の落とし穴:セカンドハラスメント(二次被害)
制度を整えたのに相談が増えない、あるいは相談が途中で止まってしまう――。
そこで起きてしまうのがセカンドハラスメント(二次被害)です。
セミナーでは、相談対応の場で二次的な被害が生じるケースとして、典型的な“悪い対応例”が示されました。
- 相談者を責める/自己責任を示唆する
- 「あの人はそんなことしない」と決めつける
- 「昔はもっとひどかった」と矮小化する
未然防止を本気で進めるなら、受講対象を「一般社員」「管理職」だけで終わらせず、相談窓口・人事・現場管理者の初動対応の質まで含めて整えていく必要があります。
6.「見て見ぬふり」が当たり前を作る:割れ窓効果
本セミナーのメッセージは明快です。
「見て見ぬふりをしない!言えない空気をつくらない!」
見て見ぬふりが続くと、違法行為が“当たり前”になり、違法行為をする人が増えていく――この現象を「割れ窓効果」として説明し、放置が組織の規範を崩す危険性を示しました。
つまり、未然防止とは“空気を変える”こと。そのために必要なのが、研修と仕組みです。職場のハラスメント問題を“個人の問題”に閉じないことが重要になります。
割れ窓効果:不正や違法行為を見て見ぬふりしていると、それが“当たり前”になり、不正や違法行為をする人が増えていく現象。

7.未然防止に必要な5つの打ち手
セミナーでは、ハラスメント未然防止策として次の5点を整理しました。
1.研修・Eラーニング等で正しい知識を身に付けてもらう
2.相談窓口の告知、上司の相談力の強化
3.「遭っているかも?」と思った時の対応方法
4.「見た時」の対応方法
5.自身も行為者になる可能性の理解
この5点をセットで回し始めると、「言えない」「止められない」が減り、現場の萎縮も解けやすくなります。
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まとめ:言えない空気を変える
ハラスメント対策を強化しようとするとき、つい「ルール整備」や「窓口設置」に目が向きがちです。
しかし本セミナーでお伝えしたことは、誤解をほどく“共通言語”(研修)と、言える・止められる“運用”(仕組み)がそろって初めて、未然防止が機能するということです。
「見て見ぬふりをしない」「言えない空気をつくらない」――この状態を、研修設計と運用設計の両輪で実装することが、いま企業に求められているハラスメント対策だと言えます。
また、現場の線引き不安を解消する意味でも、ハラスメント対策研修を通じて共通言語を揃えることが、実効性の高い取り組みにつながります。
参加者の声
- 「パワハラであるかないか」と「指導として適切か否か」は分けて考えることが必要ということが印象に残った。
- ハラスメントに該当するかしないか等ボーダーラインが知れてかなり勉強になった。
- ハラスメントの誤解を正し、“不快=即ハラスメントではない”という理解と、指導・育成と結びつけた実践の重要性が印象に残った。
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