1on1が意味ないと感じる原因とは?内容/進め方など見直したいポイントを解説

1on1が意味ないと感じる原因とは?内容/進め方など見直したいポイントを解説

目次

「部下が本音を話してくれない」
「上司が準備不足で毎回プロジェクトの進捗確認で終わってしまう」

そのような悩みを抱える人事・研修担当者の方は少なくありません。

7割近くの企業が1on1を導入している一方で、約3割は効果を実感できていないというデータがあります。せっかくの取り組みが機能しない背景には、共通した原因があります。

本記事では、年間960件以上の研修実績を持つかんき出版の社員研修が、1on1が意味ないと感じられる5つの原因と本日から実践できる改善策を体系的に解説します。

1on1とは

1on1とは、上司と部下が1対1で定期的に行う対話の場です。従来の評価面談とは異なり、部下の成長支援や課題解決、信頼関係の構築を主な目的としています。

業務の進捗確認や上司からの指示出しの場ではなく、部下が主役となる傾聴・コーチング型の対話が基本です。部下が自分のキャリアや仕事の悩みを安心して話せる環境をつくることが、1on1の本来の役割といえるでしょう。

すでに7割ほどの企業が1on1を導入しているものの、3割の企業が効果を実感できていないという実態も明らかになっています。導入するだけでは不十分であり、正しく運用するための仕組みと上司側のスキルが不可欠です。

引用:【調査発表】1on1ミーティング導入の実態調査|株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
引用:「部下の成長支援を目的とした1on1ミーティングに関する定量調査」を発表|株式会社パーソル総合研究所

1on1が「意味ない」と感じられる5つの原因

1on1が意味ないと感じられる原因は、大きく以下の5つに整理できます。

  1. 進捗確認・業務報告の場になっている
  2. 目的・ゴールが双方で共有されていない
  3. 上司のスキル(傾聴・コーチング)が不足している
  4. 多忙による形骸化・準備不足
  5. 短期間で効果を求めすぎている

1on1が機能しない理由を詳しく知りたい方は以下の資料もご覧ください。

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なぜ1on1は機能しないのか?|資料請求|企業の社員研修・企業研修ならかんき出版/人材育成・組織開発

1on1が形骸化する背景を構造的に読み解き、組織としてどのように再設計すべきかを具体的に解説します。

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①進捗確認・業務報告の場になっている

1on1が形骸化している企業では、通常の業務ミーティングと区別がつかず、単なる進捗確認の場になってしまっているケースが多く見られます。

上司が報告を受ける場として1on1を捉えていると、部下は評価面談のような緊張感を覚え、本音を話しにくくなります。結果として、部下の成長支援やモチベーション向上という本来の目的が失われてしまうでしょう。1on1を業務ミーティングと明確に切り分けて運用することが、改善に向けた第一歩となります。

②目的・ゴールが双方で共有されていない

上司が「1on1は部下の成長を促す場」と理解していても、部下側に「なぜ1on1をするのか」が十分に伝わっていないケースは珍しくありません。

何のために時間を使っているのかが分からない状態が続けば、効果を実感しにくくなるのは当然です。1on1の目的やゴールは、一度伝えるだけでは不十分といえます。上司と部下の双方が共通認識を持てるよう、繰り返し共有し続けることが重要です。

③上司のスキル(傾聴・コーチング)が不足している

傾聴力やコーチングスキルが身についていない上司が進行すると、上司が一方的にアドバイスする場になりがちです。その結果、部下は自分の意見や悩みを話す機会を得られず、1on1への苦手意識や不満が高まっていきます。

部下が話しやすい環境をつくるためにも、1on1研修の実施をおすすめします。1on1研修では、進め方や会話のネタの作り方など、実際の運用でつまずきやすいポイントを体系的に学べます。経験や感覚に頼らない、再現性のある1on1を実践できるようになるでしょう。

④多忙による形骸化・準備不足

業務量の多い管理職は1on1の優先度を下げやすく、日程変更や場当たり的な進行が続きやすい傾向があります。アジェンダや面談シートを準備せずに臨むと、部下の内省の機会を奪うだけでなく、過去の面談記録が残らないという問題も生じます。

「とりあえず実施している」という状態が続くと、1on1をこなすこと自体が目的となってしまうケースも見られます。形だけの1on1は、信頼関係の形成にはつながらないどころか、部下の不信感を生む原因にもなりえます。

⑤短期間で効果を求めすぎている

1on1は、1〜2か月で目に見える変化が出る施策ではありません。1年以上の継続運用を前提とした、中長期的な取り組みです。

短期間で成果が出ないことに焦り、途中でやめてしまったり、業務報告の場に変わったりするケースも多く見られます。長期的な視点で部下の変化や成長を観察し、組織全体で継続をサポートする体制を整えることが求められます。

形骸化した1on1を放置するリスク

1on1が機能しないまま放置されると、組織にとって深刻なリスクを招くことになります。主なリスクとして、以下の3点が挙げられます。

上司・部下間の信頼関係の悪化:上司が以前話した内容を覚えていなかったり、話を聞く姿勢に問題があったりすると、関係性の悪化につながります。信頼は一度失われると回復が難しく、チームの心理的安全性にも影響を及ぼします。

離職リスクの増大:信頼関係が築けない職場環境は、離職動機になりやすいといわれています。1on1が機能していれば早期にキャッチできた不満や悩みが、把握されないまま蓄積されてしまう恐れがあります。

組織全体の生産性低下:1on1が機能しないまま継続すると、上司・部下双方の時間と人件費が無駄になるだけでなく、マネジメントの質全体が低下します。形骸化した1on1は、やらないよりも悪影響を及ぼす可能性もあるでしょう。

効果的な1on1を実現する5つのポイント

効果的な1on1を実現するポイントは以下の5つです。

  • 1on1の目的を組織全体で共有する
  • 定期開催のスケジュールを固定し、日程変更を避ける
  • アジェンダ・トピックを事前に共有する
  • 上司は「聴く・引き出す」姿勢を徹底する
  • 実施状況と効果を人事が定期的にモニタリングする

①1on1の目的を組織全体で共有する

経営者・人事が上司・部下の双方に「なぜ1on1が必要か」を繰り返し説明し、組織全体に理解を浸透させることが重要です。「進捗確認の場ではない」という認識を徹底することが、形骸化防止の第一歩となります。

導入初期だけでなく、定期的に目的を再確認する機会を設けることで、1on1の意義を見失わずに継続できるでしょう。

②定期開催のスケジュールを固定し、日程変更を避ける

「毎週○曜日の×時」と定例化し、日程変更をしないことを徹底することが大切です。日程変更が続くと、部下は「自分の優先度が低い」と感じ、上司への信頼を失いやすくなります。

頻度は週1回・30分が理想とされていますが、業務状況によって難しい場合は、最低でも月1回は実施することが推奨されます。頻度よりも「継続すること」を優先する意識を持つことが大切です。

③アジェンダ・トピックを事前に共有する

上司・部下の双方が事前に話したいテーマを準備することで、場当たり的な進行を防ぐことができます。

話題の軸として「すり合わせ9ボックス®」の活用をおすすめします。これは、1on1で話す内容を「業務・個人・組織」という内容軸と「過去・現在・未来」という時間軸で整理したフレームワークです。

たとえば「現在×業務」であれば業務上の悩みや課題、「未来×個人」であればキャリアビジョンが話題となります。このフレームを活用することで、毎回の1on1に目的意識を持って臨めるようになるでしょう。

「すり合わせ9ボックス®」に関しては、関連資料のフレームワーク集で詳しく解説しています。

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④上司は「聴く・引き出す」姿勢を徹底する

1on1は上司が話す場ではなく、部下が話す場です。上司は傾聴に徹し、コーチング的な問いかけで部下の考えを引き出す姿勢が求められます。

ティーチング(教える)よりもコーチング(問いかけで気づかせる)を優先することで、部下の自主性が育まれます。「なぜそう感じましたか?」「次はどうしたいと思いますか?」といった問いかけが、部下の内省と成長を促す手法として効果的です。

⑤実施状況と効果を人事が定期的にモニタリングする

現場任せにせず、人事が1on1の実施状況・頻度を定期的に確認する仕組みをつくることが重要です。管理職へのアンケートや部下へのフィードバック収集を通じて、改善が必要な箇所を把握します。

また、部下の情報を事前に把握した上で1on1に臨めるよう、人事システムを活用して面談履歴を記録・蓄積する仕組みも有効といえるでしょう。データの蓄積により、個人の変化や傾向を長期的に追うことが可能になります。

1on1の質を高めるために研修が有効な理由

1on1が形骸化する主な原因は、管理職が「正しいやり方を知らない」「スキルが身についていない」ことにあります。

傾聴力・コーチング・フィードバックといったスキルは、自然に習得できるものではありません。体系的に学ぶことで、はじめて実践に活かせるスキルとして身につくものです。

また、1on1を進める中で多くの管理職が直面する「何を話したらいいのか分からない」「この話題に触れてもよいか」といった現場の悩みも、研修を通じて具体的な対処法として解決できます。研修は知識習得の場であるだけでなく、管理職の心理的ハードルを下げ、実践への一歩を踏み出しやすくする機会でもあるといえるでしょう。

管理職向けの1on1研修を実施した事例

太陽生命保険株式会社様では、若手社員の育成と定着を目的として2020年から1on1を導入されました。コロナ禍でテレワークが増え、職場内のコミュニケーションが希薄になったことで、若手社員の離職につながっているのではないかという仮説から、上司と部下の対話機会を意図的に設ける施策として1on1を開始されています。

導入にあたっては、管理職向けに1on1の専門家による研修を実施。部下が話しやすい環境の整え方や、会話のネタの準備の仕方など、実践的なスキルを体系的に習得されました。

研修で学んだ内容を現場で継続的に実践した結果、新入社員の1年以内離職者数は2021年度の10名から、2023年度には1月末時点で0名に。対象を2〜5年目社員にも拡大し、組織全体の風通しの良さにつながっています。

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太陽生命保険は65歳定年や少数精鋭の管理職登用を早くから導入し、2020年には「1on1ミーティング」を開始。若手社員のキャリアプランや悩みを考慮し、業務遂行力向上を目指しています。管理職向けの研修も実施し、社内施策の効果を高めています。

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まとめ

1on1が「意味ない」と感じられる原因は、主に「進捗確認の場になっている」「目的が不明確」「管理職のスキル不足」の3点に集約されます。

こうした形骸化を放置すると、エンゲージメントの低下・信頼関係の悪化・離職リスクの増大という深刻な組織課題につながりかねません。改善のカギは、人事が仕組みをつくることと、管理職が正しいスキルを身につけることの両輪にあります。

特に傾聴・コーチングスキルの習得は、管理職研修を通じて体系的に取り組むことが、最も確実かつ効果的なアプローチといえるでしょう。太陽生命保険株式会社様の事例が示すように、研修を継続的に活用することで、1on1の質が向上し、社員の定着率や職場の信頼関係に実際の変化をもたらすことができます。

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