目次
「1on1を導入したものの、気づけば進捗確認で終わってしまっている」「管理職が部下の成長につながるフィードバックを行えていない」——そのような課題をお持ちの人事・人材開発担当者の方も多いのではないでしょうか。
1on1やキャリア面談が形骸化してしまう背景には、管理職が部下の成長を促すフィードバックスキルを十分に持っていないことが大きく関係しています。本記事では、フィードバック研修の概要や必要性、研修で学ぶ内容から選び方のポイントまで、年間960件以上の研修実績を持つかんき出版の社員研修が解説します。1on1・面談を本来の「成長支援の場」として機能させたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
フィードバック研修とは?
フィードバック研修とは、管理職やリーダーが部下・メンバーに対して適切にフィードバックを行うスキルを習得するための研修です。単に「褒める・叱る」といったテクニックを学ぶだけでなく、フィードバックの目的・種類・伝え方・受け手の心理まで体系的に学ぶことで、1on1や面談の場での実践力を高めることを目指します。
フィードバック研修の必要性
1on1やキャリア面談が相互理解や部下の成長支援ではなく、業務の進捗確認で終わってしまう原因の一つは、管理職が部下の成長を促すフィードバックスキルが十分身についていないことにあります。進捗確認はできても、そこから部下の成長につながる対話をどう展開するかがわからなければ、せっかくの面談の時間が有効に活用されないまま終わってしまいます。
フィードバックは多くの管理職が「難しい」「苦手」と感じやすいスキルです。放置すると1on1や面談が形骸化したまま定着してしまうリスクがあります。研修を通じてフィードバックスキルを体系的に習得させることが、1on1・キャリア面談の質を底上げする有効な手段となるでしょう。
フィードバックが苦手・難しいと言われる原因
管理職がフィードバックを苦手とする背景には、いくつかの共通した要因があります。
まず、「部下を傷つけてしまうのではないか」「関係が悪化するのではないか」という不安が挙げられます。こうした懸念から、本来必要なフィードバックを回避してしまうケースは少なくありません。
また、フィードバックの言葉の選び方がわからず、言いたいことが曖昧になったり、逆に厳しすぎる言い方になってしまうこともあります。さらに、プレイヤーとして優秀だった管理職ほど「なぜできないのか」という感覚が先に立ち、相手に寄り添った関わり方が難しくなりやすい傾向があります。
こうした背景からも、フィードバックスキルは「自然と身につくもの」ではなく、研修を通じて体系的に習得させることが重要だといえるでしょう。
フィードバック研修で期待される効果
管理職がフィードバックスキルを習得することで、1on1・面談が「進捗確認」から「成長支援の対話」へと変わっていきます。
部下がフィードバックを受けて自分の強みや改善点を具体的に理解できるようになると、行動変容のスピードも上がります。また、フィードバックが批判ではなく成長支援として受け取られるようになると、部下が上司に相談しやすくなり、離職防止やエンゲージメント向上にもつながっていきます。フィードバックスキルの習得は、部下の成長にとどまらず、組織全体の活性化をもたらす投資といえるでしょう。
1on1・面談で部下の育成につながるフィードバックとは?
1on1や面談の場でフィードバックを「成長支援」として機能させるには、フィードバックの種類と使い分けを管理職が理解していることが前提となります。フィードバックを「伝えるべき内容を伝える行為」ととらえるだけでなく、相手の成長にどうつなげるかという視点が求められます。
ポジティブフィードバックとネガティブフィードバックの使い分け
フィードバックには大きく2種類があります。
ポジティブフィードバックとは、部下のよい行動や成果を具体的に認め、その行動を継続・強化させることを目的としたフィードバックです。「あの場面でのあなたの対応は、チームに安心感を与えていた」といった形で、具体的な行動と影響を伝えることがポイントです。
一方、ネガティブフィードバックとは、理想の状態と現状のギャップを伝え、改善行動を促すフィードバックです。「評価」として伝えるのではなく、「次にどうすれば改善できるか」という建設的な視点で伝えることが重要です。
1on1ではこの両者をバランスよく使い分けることが求められます。ポジティブフィードバックなしにネガティブフィードバックだけを続けると、部下のモチベーションや心理的安全性が損なわれやすいため注意が必要です。
フィードバックとコーチングの使い分け
1on1の場でよく混同されるのが「フィードバック」と「コーチング」の違いです。フィードバックは上司が事実や評価をもとによかった点や改善点を伝える行為であるのに対し、コーチングは問いかけを通じて部下自身に気づきを促すアプローチであり、目的と関わり方が異なります。
たとえば、部下が具体的な解決策をまだ把握していない段階では、上司からのフィードバックが有効です。一方で、部下がある程度経験を積み、自律的な思考・行動を促したい段階ではコーチングが適しています。
1on1を育成の場として機能させるには、「今はフィードバックすべきか、コーチングで引き出すべきか」を状況に応じて判断できるスキルが管理職に求められます。フィードバック研修ではこの使い分けをロールプレイで体験的に習得することが効果的です。
フィードバック研修で学ぶ内容
フィードバック研修では、単なる褒め方・叱り方の技術だけでなく、1on1・キャリア面談の場で実践できる対話スキルを体系的に習得します。主な学習内容は以下の3つです。

フィードバックの基本フレームワーク
フィードバック研修ではまず、「SBI(Situation-Behavior-Impact)フィードバック」などの基本フレームワークを体系的に学びます。SBIフィードバックとは、「状況(Situation)」「行動(Behavior)」「影響(Impact)」の3つの要素を順番に伝える手法で、具体性と客観性を持たせながらフィードバックできるのが特徴です。
フレームワークを活用することで、感情的にならず、相手に伝わりやすい形でフィードバックを構造化できるようになります。そのほかにも「KPTフィードバック」「ペンドルトンモデル」など、場面や目的に応じた複数のフレームワークを習得することで、1on1のさまざまな場面に応じた使い分けができるようになるでしょう。
部下への伝え方や言葉の選び方
同じ内容を伝えるにも、言葉の選び方によって部下の受け取り方は大きく変わります。
たとえば「なぜできないんですか」と「次回どう改善できそうですか」では、部下の反応がまったく異なります。前者は防衛的な反応を引き出しやすく、後者は前向きな行動変容につながりやすいといわれています。
フィードバック研修では、責めているように聞こえない表現・前向きに行動を促す言い回しを、1on1の場面を想定したロールプレイを通じて体得します。具体的な言葉の言い換えパターンを複数習得することで、状況や相手に応じた伝え方を選びやすくなります。
受け手の心理への理解
フィードバックを受けた際、人は防衛本能から批判として受け取りやすい心理的メカニズムがあります。このメカニズムを知ることで、「なぜ相手がうまく受け取れないのか」を管理職が理解しやすくなり、1on1での関わり方が変わってきます。
また、部下のタイプによっても受け取り方は異なります。反応の仕方・価値観・経験の成熟度を踏まえた、相手に合わせた柔軟な伝え方を学ぶことが、フィードバックを「伝わるもの」にするうえで欠かせません。
フィードバック研修を選ぶ際のポイント
フィードバック研修には多くのプログラムが存在するため、「1on1・面談の質を高める」という自社課題に合ったものを選ぶことが重要です。選定の際に確認すべき主なポイントは以下の3つです。
1on1・面談を想定した実践演習・ロールプレイが組み込まれているか
フィードバックは実践を伴うスキルであるため、知識のインプットだけでは現場で活用できません。1on1や面談を想定したロールプレイが組み込まれているかを確認することが重要です。
また、フィードバックを「伝える側」だけでなく「受ける側」も体験できる設計になっているかも重要な確認ポイントです。受け手の心理を体感することで、フィードバックの質はより深まります。演習の充実度が、研修後の現場実践率に直結するといっても過言ではないでしょう。
自社の課題に合わせたカスタマイズに対応しているか
「1on1が形骸化している」「ポジティブフィードバックが苦手な管理職が多い」など、自社特有の課題は企業によって異なります。研修の内容をその課題に合わせてカスタマイズできるかを確認することが大切です。
業種・職種・管理職の経験値に応じた演習シナリオや事例を用意できるかも確認するとよいでしょう。標準プログラムをそのまま使うのではなく、課題のすり合わせから始められる研修会社を選ぶことが、研修の効果を高めるうえで重要です。
フィードバックスキルの定着を支えるフォロー体制があるか
研修で学んだことを1on1・面談の現場で実践できるよう、フォローアップ研修・個別コーチング・振り返りの場などの継続支援があるかを確認しましょう。
また、効果測定・アンケート分析など、研修の成果を可視化し改善につなげる体制があると望ましいといえます。「やって終わり」にならない継続的な支援があることが、管理職の行動変容につながる研修の条件といえるでしょう。
フィードバック研修と併せて実施したい研修
フィードバックスキルは、1on1・面談を機能させるための手段の一つであり、管理職としての総合的なマネジメント力と連動しています。以下の研修と組み合わせることで、フィードバック研修の効果をさらに高めることができます。
管理職研修
フィードバックは管理職スキルの一つに過ぎず、目標設定・評価・動機づけなどのマネジメントスキルと合わせて習得することで、より現場での実践につながりやすくなります。
特に新任管理職には、マネジメント基礎とフィードバックをセットで提供することで、1on1を含む部下との関わり全体の質が高まります。管理職研修でマネジメントの全体像を理解したうえで、フィードバック研修で個別スキルを深掘りする流れが効果的です。

1on1研修
フィードバックスキルを1on1の場で活かすためには、1on1そのものの進め方を学ぶ研修と組み合わせることが効果的です。傾聴・質問・コーチング的関わりなど、1on1研修で習得するスキルはフィードバックスキルと共通点が多く、相乗効果が生まれやすい組み合わせです。
「1on1の場でフィードバックをどう使うか」という具体的な場面設計を両研修で連動させることで、管理職が実践に移しやすくなります。1on1が形骸化していると感じている組織では、両研修をセットで実施することを検討してみてください。

まとめ
1on1・キャリア面談が形骸化する根本原因の一つは、管理職のフィードバックスキルの不足にあります。研修を通じてフィードバックスキルを習得させることが、1on1を「報告の場」から「成長支援の場」へ変える有効な手段となるでしょう。
研修選びでは、以下の3点を重視することをおすすめします。
- 1on1・面談を想定した実践演習・ロールプレイの充実度
- 自社のフィードバック課題に合わせたカスタマイズへの対応
- 研修後のフォロー・定着支援の体制
管理職研修・1on1研修との組み合わせにより、面談の質と管理職のマネジメント力を総合的に底上げできます。単発で終わらせず、他の研修との連動を視野に入れた設計が、より大きな効果を生むでしょう。
お問い合わせ

■ 関連プログラム



■ 関連記事
