目次
「ハラスメント研修を実施しているのに、社員が自分事として捉えてくれない」
「毎年同じ内容で、研修がマンネリ化している」
こうした悩みを抱える人事担当者や研修企画者は少なくありません。
2020年のパワハラ防止法施行以降、多くの企業がハラスメント研修を導入してきました。しかし、形式的な研修を繰り返すだけでは、受講者の意識や行動は変わらず、職場環境の改善にはつながりにくいです。
本記事では、年間960件以上の研修を手掛けるかんき出版の社員研修が、研修を自分事化してもらうための具体的な見直しポイントを解説します。
ハラスメントとは?
ハラスメント(harassment)とは、相手に不快感を与える「嫌がらせ」や「いじめ」などの迷惑行為のことです。身体的な暴力だけではなく、人格を否定する言葉を浴びせたり、無視したりといった精神的なダメージを与える行為もハラスメントにあたります。
職場でハラスメントが起こると、人間関係が悪化し、職場の秩序が乱れ、生産性が低下します。休職者や離職者も増え、人材不足や企業イメージ悪化にもつながります。従業員一人ひとりがハラスメントの知識を得て、未然防止を行うことが法律でも義務付けられています。
ハラスメントの種類
パワーハラスメント(パワハラ)
パワーハラスメントとは、同じ職場で働く人に対して、上司や先輩といった職務上の地位や人間関係などの優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的な苦痛を与えることです。最近では、優位性のある同僚間や、部下から上司に対するハラスメントも増加傾向にあります。
関連記事:パワハラと指導の違いとは?適切な社員の指導方法やパワハラを未然に防ぐ方法も解説
セクシャルハラスメント(セクハラ)
セクシャルハラスメントとは、性的な言動による嫌がらせ行為のことです。性別や性的指向、性自認は関係ありません。異性に対するものだけではなく、同性同士での性的な言動もセクハラになるケースもあります。
マタニティハラスメント(マタハラ)/パタニティハラスメント(パタハラ)
マタニティハラスメント/パタニティハラスメントとは、妊娠・出産に伴う休業の利用、育児休業や時短勤務制度の利用に関する、従業員の就業環境を害する言動のことです。
ケアハラスメント(ケアハラ)
ケアハラスメントとは、働きながら家族の介護を行う従業員に対する嫌がらせのことです。介護制度の利用を上司や同僚が妨害することや、また残業ができないことで降格させるなどの人事評価を下げることも該当します。
モラルハラスメント(モラハラ)
モラルハラスメントは、身体的な攻撃ではなく、言葉や態度により相手に精神的な苦痛を与える道徳や倫理に反する嫌がらせ行為です。職場の立場や優位性に関係なく、相手の人格を否定する侮辱、無視、悪口などが該当します。
カスタマーハラスメント(カスハラ)
カスタマーハラスメントとは、顧客が行う商品やサービスに対する理不尽なクレームや言動のことです。常識の範疇ではない場合は、クレームではなくカスハラとみなされます。
ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)
ジェンダーハラスメントとは、「男性だから○△すべき」「女性らしく△□すべき」など、性別による固定観念で差別的な言動を行うことです。能力ではなく、性別で業務を分担することも該当する可能性があります。
アルコールハラスメント(アルハラ)
アルコールハラスメントとは、飲酒に関するハラスメントのことです。飲み会への強制参加、飲酒の強制もアルハラなどが該当します。
職場におけるパワハラの3要素
職場におけるパワハラの3要素 | 具体的な内容 |
| ①優越的な関係を背景とした言動 | 上司や先輩など肩書や職位における上下関係だけではなく、経験・専門性などのさまざまな要素における関係の優位性を利用して行われる言動が該当します。一般的にパワハラは上司が部下に圧力をかける行為だと思われがちですが、同僚や後輩も含まれます。 |
| ②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動 | 社会通念に照らし、業務上明らかに必要性がない言動が該当します。「社会通念上ふさわしくない言動かどうか」は、さまざまな要素を総合的に見て、客観的に判断されます。例えば、「業務上明らかに必要性がない」「業務の目的を大きく逸脱している」「業務を遂行するための手段として不適当」などです。 |
| ③労働者の就業環境が害される | 暴力や人格・名誉を傷つけるような言動により精神的・身体的に苦痛を感じ、労働者の職場環境が不快なものとなり、能力の発揮に悪影響を及ぼす場合が該当します。 |
パワハラ6類型
厚生労働省では、職場のパワハラを次の6種類に分類しています。あくまでパワハラの一般的な言動を六つに分類したものです。これらに当てはまらないものはパワハラではない、ということではありません。
参考:あかるい職場応援団(厚生労働省)
ハラスメントが職場に及ぼす影響
職場
・秩序の乱れ
・仕事の意欲低下、生産性低下
・被害者の休職・退職による人材不足
・企業イメージの低下
・損害賠償による金銭的損失
被害者
・身体的、精神的な苦痛により、休職や退職につながる
・能力を発揮する機会が得られなくなる
行為者
・職場での信用を失う
・懲戒処分の対象になったり、訴えられたりする可能性がある
ハラスメントに関する法律
パワーハラスメント
・職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより労働者の就業環境が害されることがないよう防止措置を講じること(労働施策総合推進法第30条の2関係)
セクシュアルハラスメント
・職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者が労働条件について不利益を受けたり、性的な言動により当該労働者の就業環境が害されたりすることがないよう防止措置を講じること(男女雇用機会均等法第11条関係)
妊娠・出産等ハラスメント
・上司・同僚からの妊娠・出産等に関する言動により妊娠・出産等をした当該女性労働者の就業環境が害されることがないよう防止措置を講じること(男女雇用機会均等法第11条の3関係)
・上司・同僚からの育児・介護休業等に関する言動により当該労働者の就業環境が害されることがないよう防止措置を講じること(育児・介護休業法第25条関係)
引用:ハラスメントに関する法律とハラスメント防止のために講ずべき措置-あかるい職場応援団(厚生労働省)
事業者に求められるハラスメント対策
厚生労働省は、職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた取組を推進するため、企業でパワーハラスメント対策に取り組む際の参考になるよう「ハラスメント裁判事例、他社の取組などハラスメント対策の総合情報サイト「明るい職場応援団」」を用意しています。対策を行っていない企業はこちらをベースに即座に実施する必要があります。
ハラスメント予防
①トップのメッセージ
・組織のトップが、職場のパワーハラスメントは職場からなくすべきであることを明確に示す
②ルールを決める
・就業規則に関係規定を設ける、労使協定を締結する
・予防・解決についての方針やガイドラインを作成する
③実態を把握する
・従業員アンケートを実施する
④教育する
・研修を実施する
⑤周知する
・組織の方針や取組について周知・啓発を実施する
ハラスメント解決
⑥相談や解決の場を設置する
・職場に相談窓口を設置し、対応責任者を決める
・外部専門家と連携する
⑦再発防止のための取組
・行為者に対する再発防止研修等を行う
関連資料:企業を守る 最新ハラスメント対策ガイドブック
関連記事:義務化されたハラスメント対策は何を見直す?今後の義務化と効果的な研修方法を解説
ハラスメント研修が必要な理由や背景
ハラスメント研修が必要な理由や背景は以下の通りです。
- パワハラ防止関連法によるハラスメントの取り組みの義務化(大企業は2020年6月、中小企業は2022年4月から施行)
- 2026年10月からカスハラと就活セクハラの対策が義務化
- ハラスメント相談件数の増加
- 世代間ギャップによるコミュニケーションの弊害
- 価値観の多様化
- 多様化する従業員の働き方
- リモートワークによる対面コミュニケーションの減少 など
ハラスメント研修の目的
2020年6月に労働施策総合推進法が改正され、中小企業においても職場においてハラスメント対策を講じることが義務づけされました。これに伴い、すべての従業員はハラスメントとは何かを正しく理解し、どのような行動がハラスメントに該当するのか、法的な知識を身につける必要があります。
ハラスメント対策研修の目的は、職場全体のリテラシーを強化し、ハラスメントを未然に防止することです。誰もがハラスメント行為者になる可能性があることを深く理解し、職場内におけるコミュニケーションの停滞を起こさず、職場環境を良好に保つことが期待できます。
パワーハラスメント研修の受講者とポイント
経営幹部
ハラスメントの知識だけではなく、強い当事者意識を醸成します。具体的な判例で自身の考えのアップデートの重要性に気づき、職場全体への展開方法を考えます。
管理職
ハラスメントの知識だけではなく、どのように指導すればいいかを学びます。ハラスメントと指導の違い、感情コントロール、職場全体への展開方法を考えます。
一般社員
正しいハラスメントの知識を得て、何でもハラスメントになるわけではないことや、役職者だけではなく、誰もが行為者になる可能性があることを理解します。
ハラスメント研修の再設計を考えるタイミング
多くの企業がハラスメント研修の再設計を考えるタイミングは主に以下5つです。

法改正が実施されたとき
ハラスメントに関する法改正が実施された際も、研修内容を見直す重要なタイミングです。法改正に伴い、企業に求められる対応や措置の内容が変わるため、既存の研修が最新の法的要件を満たしているか確認する必要があります。法改正の内容を反映していない研修は、コンプライアンス上のリスクを高めるだけでなく、受講者に誤った認識を与えかねません。
例えば、2026年10月からはカスタマーハラスメントや就活セクハラへの対策が義務化される予定であり、こうした新たな規制に対応した研修内容への更新が求められます。法改正の動向を常に把握し、研修内容に適切に反映させることが、効果的なハラスメント対策の基盤となります。
参加者アンケートの評価が低いとき
ハラスメント研修の再設計を検討すべきタイミングの一つが、参加者アンケートで低い評価が見られる場合です。例えば「ハラスメント対策の必要性は理解できたが、具体的な対策方法がわからなかった」といったコメントが寄せられている場合、研修内容を明日から実践できない可能性が高いです。
また「内容が自分の業務に関係ないと感じた」という声は、受講者の役職や職種に合わせた内容設計ができていないことを示唆しています。アンケート結果を定期的に分析し、受講者のニーズと研修内容のギャップを把握することで、より効果的な研修への見直しが可能になります。
ハラスメントに関する相談件数が減っていないとき
ハラスメント研修を実施しているにもかかわらず、社内の相談窓口への相談件数が減少しない場合も、研修内容の見直しを検討すべきです。研修で学んだ知識が、行動変容につながっていない可能性があり、研修の形式や内容が現場の実態に即していないことが考えられます。
ただし、研修によってハラスメントへの意識が高まり、これまで声を上げられなかった従業員が相談しやすくなった結果として、一時的に件数が増加するケースもあります。そのため、相談件数の増減だけで判断するのではなく、相談内容の傾向や質的な変化も含めて分析し、研修効果を多角的に評価することが重要です。
年度替わりなどの定期的なタイミング
年度替わりや新入社員の入社時期など、組織に変化が生じる定期的なタイミングも、ハラスメント研修の再設計を検討する良い機会です。新たなメンバーが加わることで職場の人間関係やコミュニケーションの形が変化し、これまでとは異なるハラスメントリスクが生じる可能性があります。
また、年度替わりは人事異動や組織改編が行われることも多く、新任管理職への教育ニーズが高まる時期でもあります。こうした節目に合わせて研修内容を見直すことで、組織の最新の状況に即した効果的な研修を提供できます。
研修から一定期間が経過したタイミング
前回のハラスメント研修から一定期間が経過したタイミングも、研修内容を見直す適切な時期です。社会情勢や働き方の変化に伴い、ハラスメントの形態や認識も変化しているため、数年前に作成した研修内容が現在の職場実態に合わなくなっている可能性があります。
例えば、リモートワークの普及によりオンライン上でのハラスメントが新たな課題として浮上するなど、研修作成時には想定されていなかった問題が生じていることも考えられます。また、時間の経過とともに受講者の記憶も薄れていくため、定期的に研修を実施し、ハラスメント防止への意識を維持・向上させることが重要です。
ハラスメント研修が形式化している場合は何を見直す?
ハラスメント研修が形式化している場合は、以下4つを見直すのがおすすめです。

研修受講者
ハラスメント研修が形式化している場合、まず見直すべきは研修の受講者です。たとえば、管理職向けの研修を一般社員にも一律で実施している場合、内容が受講者の立場や役割に合っておらず、学びが実務に結びつかない可能性があります。
管理職には部下への指導場面でのハラスメント防止が求められる一方、一般社員には同僚間のコミュニケーションや相談窓口の活用方法など、異なる視点からの学びが必要です。
また、ハラスメントが発生しやすい部署や過去に問題が報告された部門の従業員が受講対象に含まれているかも重要な確認ポイントです。受講者の選定を適切に行うことで、研修内容と受講者のニーズが一致しやすくなります。
関連記事:管理職研修の目的とは?効果を高めるポイントや対象者別の研修カリキュラムを紹介
研修内容
毎年同じハラスメント研修を実施している場合は、研修内容そのものを見直すことも重要です。例えば、法律や定義の解説に終始し、具体的な事例やケーススタディが不足している研修は、受講者が「自分には関係ない」と感じやすく、行動変容につながりにくいでしょう。
また、一方的な講義形式のみで構成されている場合、受講者の理解度や定着度が低くなる傾向があります。グループディスカッションやロールプレイングなど、受講者が主体的に参加できる双方向型のプログラムを取り入れることで、学びの定着率を高めることができます。
研修後のフォロー
ハラスメント研修が形式化している場合、研修内容だけでなく、研修後のフォロー体制も見直すべきポイントです。研修で得た知識やスキルは、日常業務の中で実践し振り返る機会がなければ定着しにくいためです。
研修を受講して終わりにするのではなく、一定期間が経過した後にフォローアップ研修を実施しましょう。これにより、知識の再確認と行動の振り返りが可能になり、学びの定着を促進できます。
効果測定
ハラスメント研修が形式化している場合、研修内容だけでなく、効果測定の方法を見直すことも欠かせません。研修直後のアンケートだけでは、受講者の満足度は測れても、実際の行動変容や職場環境の改善につながったかどうかを判断することは難しいためです。
研修の成果を多角的に評価するためには、研修前後での知識テストの実施や、一定期間経過後の行動変化の追跡調査、ハラスメント相談件数の推移分析など、複数の指標を組み合わせて測定することが重要です。こうした多面的な測定を行うことで、研修のどの部分が機能しており、どの部分に改善の余地があるかを具体的に把握でき、より実践的な研修への見直しが可能になります。
関連記事:やりっぱなしにしない!研修効果を見える化するための測定方法とは?
かんき出版の社員研修が実施するハラスメント研修の内容
▶経営幹部・管理職・一般社員それぞれに対して研修を行い、ハラスメントに関するリテラシーを強化したい
ハラスメント対策の必要性は理解しているものの、「そもそものハラスメントの定義の理解が曖昧」「ハラスメントのグレーゾーンが分からない」「指導したくてもハラスメントと思われそうで怖い」「マタハラ、パタハラ、SOGIハラ、モラハラ、リモハラなど新しいハラスメントがよく分からない」など課題をお持ちの企業様は多くいらっしゃいます。ハラスメントはちょっとした日常の業務の中で起こりうることです。誰もがハラスメント加害者/被害者になる可能性があるので、ハラスメントを正しく理解します。

▶アンガーマネジメントで、パワハラにならない指導方法を学ばせたい
アンガーマネジメントとは、アンガー(怒りの感情)をマネジメント(上手に付き合う)するための心理教育・トレーニングです。怒りという強い感情に振り回されることなく、また損をすることなくコントロールすることです。アンガーマネジメントでハラスメントにならない指導方法を学びます。

▶全従業員のストレス耐性を高めたい
自己肯定感とは、ありのままの自分を無条件に受け入れ、愛すること。従業員一人ひとりが折れないメンタルを身に付けることで個人のパフォーマンスをアップすると同時に社内外の人間関係を円滑にします。

かんき出版の社員研修が提供するハラスメント研修の特長
かんき出版の社員研修は、ビジネストレンドを発信し続けている出版社による法人向け研修サービスです。数多くのビジネス書のノウハウを持ったコンサルタントが、お客様ごとに異なる課題一つひとつに向き合い、著者ネットワークを活かしたオリジナルのプログラムを提案し、育成課題の解決へと導きます。
(1)さまざまな経験をもつ講師陣
かんき出版の社員研修は、ビジネス書の著者を中心としたプロフェッショナルな講師陣と、実用的なビジネスメソッドを学べる充実したプログラムが特長です。さまざまな経験をもつ講師の中から貴社の課題を解決できる最適な講師を提案します。
(2)課題に合わせてプログラムをカスタマイズ
パッケージ化された画一的なプログラムでは、企業のビジョンにフィットしない、社員が自分事として捉えられない、なんてこともあります。貴社の課題に合わせて、最適な研修プログラムを提案します。
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