• トップ
  • お役立ち情報
  • 「女性活躍推進」を進めるカギは"男性育休の質"にあり。取得率40%でも変わらない職場を変える「次の一手」

「女性活躍推進」を進めるカギは"男性育休の質"にあり。取得率40%でも変わらない職場を変える「次の一手」

「女性活躍推進」を進めるカギは

目次

はじめに:制度が整っても進まない「女性活躍」と「男性育休」

近年、日本企業では「女性活躍推進」や「男性育休の取得促進」が経営課題として強く意識されるようになってきました。
育児・介護休業法の改正により、2022年には「産後パパ育休(出生時育児休業)」が創設され、制度面では大きな前進がありました。
その結果、男性の育児休業取得率は2024年度に40%を超え、40.5%と過去最高を記録しています。(出典元:https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/ikuji/

数字だけを見ると、日本企業の働き方は着実に変わりつつあるようにも見えます。
しかし、実態に目を向けると、取得期間は数日〜数週間程度にとどまるケースが多いのが現状です。(出典元:https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/000686517.pdf

「取得率は上がったが、職場の実感は変わらない」
人事担当者の多くが、こうした違和感を抱いているのではないでしょうか。

女性活躍推進についても同様です。女性社員の比率は高まっているものの、管理職層における女性割合は依然として低水準にとどまっています。
制度や数値目標だけでは、組織の在り方そのものは変わらない——。
本コラムでは、その背景にある課題を整理し、企業が次に取り組むべき「本質的な打ち手」について考えていきます。

1.データで見る日本の現状:男性育休・女性活躍の伸び悩み

男性育休は「取るようになった」が「短い」

厚生労働省の調査によると、男性育休取得率は年々上昇しています。
一方で、取得日数を見ると1か月未満の短期取得が多数派です。
制度は「取れる」ようになったものの、実際には「職場に迷惑をかけない範囲」での取得にとどまっているケースが少なくありません。
この背景には、

  • 長期取得に対する心理的ハードル
  • 業務代替が前提になっていない職場構造
  • 上司・同僚の無言のプレッシャー

といった、制度以外の要因が大きく影響しています。

女性社員は増えても、管理職は増えない理由

多くの企業で女性社員の割合は高まっているものの、管理職に占める女性比率は依然として低い水準にとどまっています。
内閣府の統計によると、常用労働者100人以上の企業における役職別の女性割合は 係長級24.4%、課長級15.9%、部長級9.8% と、上位の役職ほど女性比率が低くなっています。
(出典元:内閣府 男女共同参画局  https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r07/zentai/html/honpen/b1_s01_04.html 

これは「能力の問題」ではなく、

  • 昇進意欲を持ちにくい職場環境
  • 管理職像が固定化されている
  • ロールモデルの不足

といった構造的な要因によるものです。

2.成功を阻む“見えない壁”:組織風土とアンコンシャスバイアス

制度があっても使われない理由

制度が整っているにもかかわらず活用が進まない背景には、組織風土や無意識の思い込み(アンコンシャスバイアス)が存在します。
たとえば、

  • 「育児中の社員は責任ある仕事を任せにくい」
  • 「男性が長期間育休を取るのはまだ珍しい」
  • 「管理職はフルタイムで長時間働ける人が向いている」
  • 今までこうやってきたのだから、大きく変える必要はない」

これらは、誰かが意図的に差別しようとして生まれたものではありません。長年の慣習や成功体験の積み重ねの中で、無自覚のうちに刷り込まれてきた価値観です。これらは誰かが悪意をもって差別しているわけではありません。むしろ多くの場合、「配慮しているつもり」「現実的な判断」のつもりで行われています。

しかし、この“無意識の判断”が積み重なることで、

  • 男性育休は「短期間なら問題ない』という、限定的な許容に留まっている
  • 女性は「将来を見越して」重要案件から外される
  • 管理職候補が特定の属性に偏る

といった結果につながっていきます。

制度があるのに使われない理由は「現場の判断基準」にある

産後パパ育休をはじめ、制度そのものは年々整備されています。それにもかかわらず、取得日数が数日〜数週間にとどまるケースが多い背景には、「制度」ではなく「現場で共有されている判断基準」がボトルネックになっている現実があります。

たとえば、制度上は取得可能であっても、

  • 上司が「取ってもいいけど、忙しい時期だよね」と言う
  • 周囲が「その分、誰がフォローするのか」と無言の圧力をかける
  • 本人が「評価に影響しないか」と不安を抱く

こうした状況では、制度があっても“使えるとは感じられない”のが実態です。この「使える/使えない」の境目を決めているのが、まさにアンコンシャスバイアスによって形成された職場の空気なのです。

大企業で前例を踏襲される「意思決定ルール」

特に大企業では、このアンコンシャスバイアスが組織全体の「暗黙の運用ルール」として固定化しやすい傾向があります。

  • 組織が大きく、前例が重視されやすい
  • 管理職層が長年同じ価値観でキャリアを築いてきた
  • 評価制度や昇進要件が暗黙の了解として共有されている

その結果、表立って反対されることはなくても、「前例がないから様子を見よう」「今は時期尚早ではないか」といった言葉で、変化が先送りされていきます。
重要なのは、この「暗黙の運用ルール」は誰か一人が作っているわけではないという点です。多くの人が「悪くない判断」「無難な選択」を重ねた結果として、変えにくい組織風土が出来上がっています。
だからこそ、女性活躍推進や男性育休を本質的に進めるには、制度や数値目標だけでなく、自分たちがどんな前提で判断しているのか、その前提は今の経営環境・人材戦略に合っているのかを一度立ち止まって見直すプロセスが欠かせません。

■関連資料ダウンロード


女性活躍推進における人事と女性管理職との認識ギャップ

多くの企業が女性活躍推進の施策を打ち出している一方、人事と女性管理職の間で認識に違いが生じています。課題と現場ニーズを整理し、必要な視点、具体的な施策を紹介。

edu.kanki-pub.co.jp

og_img

3.課題解決のカギは「管理職のマネジメント改革」と「対話文化」

前章で見てきたように、女性活躍推進や男性育休が進まない背景には、制度の不足ではなく、無意識の思い込み(アンコンシャスバイアス)によって形づくられた組織の「空気」が存在しています。
この空気を変えていくうえで、最も重要な役割を担うのが管理職層です。

管理職の一言が、制度を「使える制度」にも「形骸化した制度」にもする

男性育休や柔軟な働き方に関する最終的な意思決定や雰囲気づくりは、現場の管理職に委ねられているケースがほとんどです。

  • 「取っていいよ」と形式的には認めている
  • しかし本音では「短期間で戻ってきてほしい」と思っている
  • 無意識に「本気で任せる仕事」と「配慮が必要な仕事」を分けてしまう

こうした言葉にしないメッセージは、部下に確実に伝わります。

その結果、制度上は可能でも「実際には取りづらい」「キャリアに影響しそう」という空気が温存されてしまいます。
つまり、管理職自身が「自分はどんな前提で判断しているのか」「その前提は、今の人材戦略や経営環境に本当に合っているのか」を自覚しない限り、組織は変わりません。

正解を教えるより、「対話できる組織」をつくる

ここで重要なのは、管理職に新しい正解を押し付けることではありません。女性活躍や男性育休に「唯一の正解」はなく、職場ごと・個人ごとに事情は異なります。
だからこそ必要なのは、

  • 「なぜそう感じるのか」を言語化すること
  • 異なる価値観があることを前提に話すこと
  • 立場の違いを越えて、率直に意見を交わせること

こうした対話の文化です。
対話が生まれることで、「配慮のつもりだった判断が、結果的に機会を奪っていた」「当たり前だと思っていた前提が、今の若手には通用しない」といった気づきが、管理職自身の中から生まれていきます。

〈関連プログラム〉


「対話型マネジメント研修」

1on1とは、管理職と部下による1対1の定期的な対話です。研修では、1on1コミュニケーションが求められる背景を理解し、コミュニケーションスキルを習得します。

edu.kanki-pub.co.jp

og_img

しかし、日常業務の中だけで意識を変えるのは難しい

とはいえ、忙しい日常業務の中で、自分の無意識の前提を振り返り、対話を深めていくことは簡単ではありません。

  • 日常では立ち止まる時間がない
  • 本音を話す場がない
  • 上下関係があると率直な意見が出にくい

その結果、「分かってはいるが、何も変わらない」状態に陥りがちです。だからこそ、多くの企業では、一度立ち止まり、共通言語で考える“外部の場”を活用しながら、組織風土改革に取り組み始めています。
こうした背景から、近年は「制度を導入すること」よりも、制度を機能させるための“意識づくり・対話づくり”に目を向ける企業が増えています。
管理職や社員が、自分たちの前提や価値観を安全に見つめ直し、安心して意見を交わせる場をどう設計するか。その一つの手段として、研修という“組織を俯瞰する時間”を活用する動きが広がっています。次章では、実際に企業がどのような切り口で組織風土改革に取り組んでいるのか、研修というアプローチを例に紹介します。

4.組織風土を変えるために、企業が取り得るアプローチ

女性活躍推進や男性育休の課題は、「制度をつくること」ではなく、「制度が使われる状態をどうつくるか」にあります。つまり、問われているのは制度運用を支える組織のあり方=組織風土です。
では、企業は組織風土を変えるために、どのようなアプローチを取り得るのでしょうか。

アプローチ① ルールだけでなく「判断の基準」を言語化する

多くの企業では、制度や規程は明文化されています。しかし実際の現場では、

  • 「このケースは取っていいのか」
  • 「誰まで配慮するのが妥当か」
  • 「評価にどう反映するのか」

といった判断が、暗黙の基準に委ねられていることが少なくありません。
特に男性育休や女性管理職登用のようなテーマでは、「前例があるか」「上司の価値観」「その場の空気」が意思決定を左右しがちです。
だからこそ必要なのは、「何を大切に判断するのか」「どこまでを組織として許容・支援するのか」を、経営・人事のメッセージとして言語化し、共有していくことです。
判断基準が言語化されることで、個々の管理職の“無意識の判断”に委ねられていた運用が、組織としての判断へと変わっていきます。

アプローチ② 管理職が「正解を出す人」から「対話を促す人」へ変わる

組織風土を左右する最大の存在は、現場の管理職です。
男性育休の取得可否や期間、育休復帰後の役割設計、女性社員へのアサインメントや育成方針――
これらの多くは、管理職の日々の判断と声かけによって決まっています。
ここで重要なのは、管理職がすべての正解を持つことではありません。
むしろ、

  • 本人はどう考えているのか
  • チームとして何ができるのか
  • 今後のキャリアをどう描くのか

こうした点を対話によって引き出し、調整する役割へとシフトすることが求められています。
「相談される管理職」「一緒に考える管理職」が増えることで、制度は“使ってもいいもの”から“使って当たり前のもの”へと変わっていきます。

アプローチ③ 小さな成功体験を積み重ね、組織の前提を更新する

組織風土は、一度に大きく変わるものではありません。しかし、小さな成功体験が積み重なることで、「前提」は少しずつ更新されていきます。

  • 男性育休を取っても、チームは回った
  • 育休後も、活躍できるキャリアは描けた
  • 管理職が柔軟な業務調整を行うことで、組織のパフォーマンスを維持できた

こうした事例が社内に増えることで、「やってみても大丈夫」という認識が広がり、空気が変わっていきます。重要なのは、成功事例を偶発的に終わらせず、学びとして共有し、次の判断に活かすことです。

アプローチ④ 組織全体で“気づき”を揃えるための仕掛けを持つ

とはいえ、日常業務の中で自分の思い込みや判断の癖に気づくことは簡単ではありません。
だからこそ、多くの企業では、

  • 共通言語をつくる
  • 判断の視点を揃える
  • 安全に意見交換できる場を設ける

といった目的で、外部の知見や研修を活用しています。研修は「何かを教え込む場」ではなく、立ち止まって考えるきっかけをつくる場として位置づけることで、組織風土改革の一つの有効な手段となります。

研修という“選択肢”を、必要なところから活用する

こうした課題意識を踏まえ、テーマ別に活用されることが多い研修の例をご紹介します。

〈管理職向け研修〉
アンコンシャスバイアス研修
管理職自身が無意識の思い込みに気づき、評価・指導・声かけを見直すきっかけを提供します。
https://edu.kanki-pub.co.jp/training/151

男性育休促進研修
制度理解にとどまらず、業務設計やチームマネジメントの観点から男性育休を“現場で回す”力を養います。
https://edu.kanki-pub.co.jp/training/106

〈従業員向け研修〉
育休後職場復帰セミナー
復帰後のキャリア不安を軽減し、主体的な働き方を支援します。
https://edu.kanki-pub.co.jp/training/157

配偶者同伴両立研修
家庭内での役割分担を見直し、男性育休の実効性を高めます。
https://edu.kanki-pub.co.jp/training/128

自社の課題やフェーズに応じて、必要な層から、必要なテーマで取り入れ組み合わせることで、「制度理解 → 意識変容 → 行動変容」へとつなげることが可能になります。

5.まとめ:持続的な女性活躍と男性育休の推進に向けて

女性活躍推進や男性育休は、「制度対応のための施策」ではなく、企業の人材戦略・組織戦略そのものです。
データが示すとおり、制度は整い、取得率も上がってきました。しかしその一方で、取得期間の短さや、管理職層の女性比率の低さなど、“使われ方”の課題が依然として残っています。
このギャップを生んでいるのは、制度の不足ではなく、私たち自身が無意識に前提としてきた考え方や、組織の空気です。
だからこそ重要なのは、

  • 制度を「つくる」だけで終わらせないこと
  • 数値目標を「追う」だけにしないこと
  • 現場での判断や対話の質に目を向けること

です。
組織風土は一朝一夕には変わりません。しかし、判断の前提を問い直し、対話を重ね、小さな成功体験を積み重ねることで、確実に変えていくことができます。
女性活躍と男性育休が「特別な取り組み」ではなく、企業が持続的に成長するための当たり前の選択になるように。その第一歩として、今の組織の前提や空気を見つめ直すことから始めてみてはいかがでしょうか。

お問い合わせ

ご相談は、下記フォームからお気軽にどうぞ。


お問い合わせはこちら

研修・講演の導入、書籍購入などお気軽にお問い合わせください。

edu.kanki-pub.co.jp

og_img

■関連資料ダウンロード


女性活躍推進における人事と女性管理職との認識ギャップ

多くの企業が女性活躍推進の施策を打ち出している一方、人事と女性管理職の間で認識に違いが生じています。課題と現場ニーズを整理し、必要な視点、女性活躍を実現するための具体的な施策を紹介。

edu.kanki-pub.co.jp

og_img

関連記事