目次
企業研修で人気のテーマには、どのようなものがあるのでしょうか。
2025年9月~2026年8月のかんき出版の年間実績をテーマ別に集計したところ、最も多かった研修テーマは「マネジメント・リーダーシップ・部下育成・OJT」で約20%、次いで「コミュニケーション」が約18%でした。
そのほか、D&I・ウェルビーイング関連、接遇・マナー、思考力が上位に入っています。
一方、実際に導入された研修を見ると、同じテーマでも内容は一様ではありません。マネジメント領域だけを見ても、役職や階層に応じた研修に加え、1on1、評価・フィードバック、現場指導、次世代リーダー育成など、役割や課題に応じたテーマ別の研修が実施されています。
2027年度の研修計画を検討する際は、人気の研修テーマをそのまま取り入れるのではなく、自社で現在実施している研修と比較しながら、「誰に、どのような行動・能力を身につけてもらう必要があるのか」を整理することが重要です。
本記事では、「かんき出版の社員研修」の年間実績に基づく研修テーマランキングTOP5と、各テーマの実施傾向を紹介し、企業研修のテーマを検討・見直しする際のポイントを解説します。
かんき出版の年間実績から見る研修テーマランキングTOP5【2025年9月~2026年8月】
2025年9月~2026年8月の年間実績では、「マネジメント・リーダーシップ・部下育成・OJT」が約20%で1位、「コミュニケーション」が約18%で2位となりました。

研修テーマランキングの集計方法
「かんき出版の社員研修」では2001年から法人向け研修を提供し、2025年度は960件の研修を実施しています。
本ランキングは、2025年9月~2026年8月に実施・提供した研修・セミナー・講演などの実績を、1件につき1つのテーマに分類して集計しています。同一企業から複数テーマのご依頼があった場合は、それぞれを1件としてカウントしています。
なお、3位には、女性活躍、LGBTQ+、障がい者支援などのD&Iに関するテーマに加え、ワークライフバランスや健康・ウェルビーイングに関するテーマも含まれるため、本記事では「D&I・ウェルビーイング関連」として紹介します。
※本ランキングは当社実績に基づくもので、企業研修市場全体の構成比を示すものではありません。
第1位 マネジメント・リーダーシップ・部下育成・OJT
年間実績で最も多かったのは、マネジメント・リーダーシップ・部下育成・OJTに関する研修でした。
この領域では、役職や階層に応じた研修に加え、管理職・リーダー層が担う役割や課題に焦点を当てた研修も幅広く実施されています。
具体的には、次のようなテーマです。
- 1on1
- プレイングマネジャー
- 評価・フィードバック
- 部下・後輩への指導
- ビジョンメイキング
- 次世代リーダー育成
管理職・リーダー育成は、役割や課題によって必要な内容が異なる
同じ管理職層でも、役職や経験、組織から求められる役割によって、必要となる育成内容は異なります。
管理職としての役割認識やマネジメントの基本をあらためて整理する場合もあれば、部下育成、1on1、評価・フィードバック、チーム運営など、具体的なマネジメント課題に焦点を当てる場合もあります。
リーダー候補や次世代経営人材を対象とした育成も行われています。
つまり、「管理職研修」という一つの枠組みだけで考えるのではなく、対象者の役割や直面している課題に応じて育成テーマを設定することが重要です。
管理職研修の目的や、対象者に応じた研修内容の考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。

2027年度の管理職・リーダー育成で確認したい3つのポイント
管理職向けの階層別研修に加え、1on1、評価者研修、部下育成など、複数の施策を実施している企業もあります。
2027年度の計画では、新しい研修を加える前に、管理職育成全体として「何を、どこで育てているのか」を整理することが重要です。
- 役職・階層ごとの期待役割と研修内容が対応しているか
課長、部長、次世代リーダーなど、対象が変わっても同じ内容を繰り返していないか。反対に、その役職で新たに求められる役割が研修から抜け落ちていないかを確認します。 - 階層別研修とテーマ別研修に重複・抜けがないか
たとえば、階層別研修でも部下育成を扱い、別途1on1研修や評価者研修も実施している場合、それぞれの役割を整理します。「何度も学んでいる内容」と「現場で必要なのに十分扱えていない内容」を分けて考えることがポイントです。 - 研修後に求める管理職の行動まで設計できているか
研修で知識を得ることだけでなく、1on1、評価面談、業務の任せ方、部下へのフィードバックなど、実際のマネジメント場面で何を変えるのかまで明確にします。
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第2位 コミュニケーション
2位はコミュニケーションでした。
実績を見ると、アサーション、傾聴、雑談力、交渉、テキストコミュニケーション、ロジカルコミュニケーション、ティーチング・コーチングなど、さまざまな内容の研修が実施されています。
対象者も、新入社員や若手社員から管理職、育成担当者まで幅広く、階層や役割に応じた研修が見られました。
「コミュニケーション力」の中身を具体化することが重要
コミュニケーションは幅広い概念です。
たとえば、
- 相手の意図や考えを十分に引き出せない
- 自分の考えを相手に分かりやすく伝えられない
- 言いにくいことを適切に伝えられない
- テキストで意図を正確に伝えることが難しい
といった課題では、それぞれ必要となるスキルが異なります。
また、新入社員に求めるコミュニケーションと、部下を持つ管理職に求めるコミュニケーションも同じではありません。
年間実績からも、「コミュニケーション」という大きなテーマの中から、対象者や仕事上の課題に応じて具体的なスキルを選んでいることが分かります。
2027年度のコミュニケーション研修で確認したい3つのポイント
コミュニケーション研修を見直す際に、最初に確認したいのは「コミュニケーションに課題がある」という状態を、どこまで具体化できているかです。
- 課題が「聴く・引き出す」「伝える」「対話する」「文章で伝える」のどこにあるか
傾聴、アサーション、説明、テキストコミュニケーションなどでは、必要なスキルが異なります。「コミュニケーション力」という一つの能力として扱わず、実際に困っている場面まで分解します。 - 対象階層によって求めるコミュニケーションを分けられているか
新入社員であれば報告・相談や基本的な意思伝達、管理職であれば部下の考えを引き出す対話やフィードバックなど、役割によって重点は変わります。全階層に同じコミュニケーション研修を展開することが適切かを確認します。 - 既存研修の中に分散している内容を把握できているか
コミュニケーションは、若手研修、管理職研修、1on1研修、OJT担当者研修など、複数の研修に含まれやすいテーマです。新しい研修を追加する前に、現在どこで何を扱っているのかを整理すると、重複と不足が見えやすくなります。
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第3位 D&I・ウェルビーイング関連
3位はD&I・ウェルビーイング関連でした。
実際には、女性活躍、LGBTQ+、障がい者支援、育休からの復帰支援、ワークライフバランス、健康・ウェルビーイングなど、幅広いテーマの研修・セミナーが実施されました。
大きなテーマよりも、解決したい課題を明確にする
D&Iやウェルビーイングに関わる取り組みは、企業によって目的が異なります。
多様性への理解促進を目的とする場合もあれば、女性活躍、障がい者の定着、仕事と生活の両立など、より具体的な組織課題への対応を目的とする場合もあります。
そのため、「D&Iに取り組む」「ウェルビーイングを推進する」という大きなテーマだけで研修内容を決めるのではなく、自社で解決したい課題を明確にすることが重要です。
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2027年度のD&I・ウェルビーイング施策で確認したい3つのポイント
この領域では、毎年テーマを変えて研修や講演を実施すること自体が目的になっていないかを確認する必要があります。
- 「理解してほしい」のか「行動を変えてほしい」のかを分ける
基礎知識や理解促進を目的とする施策と、管理職の評価・部下育成・キャリア支援など、具体的な職場行動を変える施策では設計が異なります。 - 誰の行動を変えることで課題が改善するのかを明確にする
全社員への啓発が必要な課題なのか、管理職の関わり方を変える必要があるのか、特定の対象者への支援が必要なのかを整理します。対象者を広く設定することが必ずしも最適とは限りません。 - 研修と制度・職場運用がつながっているかを確認する
研修で考え方を学んでも、評価、業務アサイン、キャリア対話、柔軟な働き方など日常の仕組みとつながらなければ、職場での変化には結びつきにくくなります。研修で担う範囲と、制度・マネジメントで対応する範囲を分けて考えます。
DE&I研修を「受けて終わり」にせず、現場行動へつなげる設計については、以下のページで詳しく紹介しています。

第4位 接遇・マナー
4位は接遇・マナーでした。
この領域では、新入社員研修や新入社員向けビジネスマナー研修など、新入社員関連の案件が目立ちます。
一方で、中堅社員向けのCS向上研修や、顧客との接点が多い職種を対象とした接遇研修など、職種や業務に応じた研修も実施されています。
接遇・マナーは、対象者と業務によって必要な内容が変わる
新入社員にとって、ビジネスマナーは社会人として必要な基本行動を身につけるテーマの一つです。
一方、顧客との接点が多い業務では、一般的なビジネスマナーだけでなく、実際の対応場面や相手との関係性を踏まえた接遇スキルが求められます。
そのため、接遇・マナー研修も、「マナーを学ぶ」という共通テーマだけで考えるのではなく、対象者にどのような行動が求められているのかから内容を設計することが重要です。
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2027年度の接遇・マナー研修で確認したい3つのポイント
特に新入社員向けのビジネスマナーは毎年実施されやすいため、「昨年と同じ内容を実施する」ことが前提になりやすいテーマです。
来年度は、研修内容そのものだけでなく、研修後に現場で使えているかまで確認します。
- 研修で教えている内容と、配属後に求められる行動が合っているか
基本的な挨拶や敬語だけでなく、自社の仕事で実際に必要となる顧客対応、社内コミュニケーション、報告・相談などと研修内容がつながっているかを確認します。 - 集合研修と配属後のOJTの役割が分かれているか
研修で教えることと、配属後に現場で身につけてもらうことを整理します。両者が連携していないと、現場で同じ内容を教え直したり、反対に必要な指導が抜けたりする可能性があります。 - 今年度の新人・現場から得た声を翌年度に反映できているか
受講直後の満足度だけでなく、配属後に「役立ったこと」「足りなかったこと」やOJT担当者からの声を確認し、次年度の内容を見直します。
新入社員研修と配属後の現場をどうつなぐかについては、以下のページで詳しく解説しています。

第5位 思考力
5位は思考力に関する研修でした。
実際には、次のようなテーマの研修が実施されています。
- ロジカルシンキング
- クリティカルシンキング
- 課題設定・問題解決
- ロジカルライティング
- ビジネス文書
- 言語化
生成AIを活用したビジネスライティングなど、仕事の進め方の変化を踏まえたテーマも見られました。
「思考力」は一つの能力ではない
思考力には、情報を整理する力、筋道立てて考える力、前提を疑う力、課題を設定する力、解決策を考える力、自分の考えを言語化する力など、複数の能力が含まれます。
年間実績でも、「思考力」という大きなテーマだけではなく、仕事で必要となる思考プロセスやアウトプットに応じて研修内容が分かれています。
2027年度の思考力研修で確認したい3つのポイント
思考力研修では、「社員にもっと考えてほしい」という課題設定のまま研修を選ばないことが重要です。
- 仕事のどの段階でつまずいているのかを特定する
情報整理、課題設定、原因分析、判断、解決策の検討、言語化など、仕事のプロセスのどこに課題があるかによって必要な研修は変わります。 - 対象者に必要な「思考」と成果物を結びつける
若手社員が論理的に報告・提案できるようにしたいのか、管理職が複雑な課題を整理して判断できるようにしたいのかでは、育成すべき力が異なります。「研修後に何をできるようにするか」を、実際の業務やアウトプットまで具体化します。 - 複数の思考スキルを一度に詰め込みすぎていないか確認する
ロジカルシンキング、クリティカルシンキング、問題解決、言語化などを一括して扱うのではなく、自社の課題に対して優先順位をつけます。既存の階層別研修やビジネススキル研修ですでに扱っている内容との重複も確認します。
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企業研修の年間実績から見えた、研修テーマの3つの特徴
研修テーマランキングを見ると、「何が上位だったか」だけでなく、企業研修で実際に選ばれているテーマの特徴も見えてきます。
1.同じ研修テーマでも、実際の内容は細分化されている
マネジメント領域では、1on1、部下育成、評価・フィードバック、次世代リーダー育成など、コミュニケーション領域では、傾聴、アサーション、交渉など、同じ大テーマの中でもさまざまな研修が実施されています。
大手企業では、すでに「管理職研修」「若手研修」などの研修体系を整備しているケースも少なくありません。
その場合、新しい研修テーマを増やすだけでなく、既存研修が現在の組織課題や対象者に合っているかを確認することが重要です。
2.「誰に」「何を変えてほしいか」から研修テーマを考える
同じコミュニケーション研修でも、新入社員と管理職では求める行動が異なります。
思考力やマネジメントについても、対象者や役割が変われば、必要となる能力は変わります。
研修テーマを検討する際は、次の順番で整理すると目的を明確にしやすくなります。
- 対象者:誰を育成するのか
- 現在の課題:どのような課題が起きているのか
- 期待する行動:研修後に何ができるようになってほしいのか
テーマありきで研修を選ぶのではなく、この3点から必要なテーマを絞り込むことがポイントです。
3.人気テーマは、自社の研修体系を見直すための比較材料になる
ランキング上位のテーマが、そのまま自社でも優先すべきテーマとは限りません。
一方、自社で現在実施している研修と比較することで、次の3つに整理できます。
- 継続する:現在の課題・対象者に合っている
- 見直す:実施しているものの、内容や対象者を再検討する必要がある
- 新たに検討する:現在の研修体系では十分に扱えていない
研修施策を追加し続けるのではなく、既存施策を残すのか、見直すのか、新たに加えるのかを整理することが、来年度の計画を考えるうえで重要です。
2027年度の研修テーマはどう決める?

2027年度の研修テーマは、人気ランキングだけで決めるのではなく、自社の組織課題と既存の研修体系から逆算して考えることが重要です。
まず、現在実施している研修について、「何のために、誰に、何を身につけてもらう研修なのか」を整理します。
そのうえで、現在の組織課題や求める人材像と比較し、
- 継続する研修
- 内容を見直す研修
- 新たに検討するテーマ
を分けて考えます。
既存研修を見直すだけでなく、事業環境や働き方などの変化を踏まえて、今後必要となる育成テーマに目を向けることも必要です。
「かんき出版の社員研修」では、来年度以降の人材開発を検討する際の参考として、当社が注目する環境変化や育成テーマを「2027年度の人材開発計画で押さえたい4つの重点テーマ」にまとめています。既存研修の見直しとあわせて、新たなテーマを検討する際の参考資料としてご活用ください。

まとめ|人気の研修テーマを、2027年度の研修計画を見直す材料に
2025年9月~2026年8月の年間実績では、マネジメント・リーダーシップ・部下育成・OJTが1位、コミュニケーションが2位となりました。
そのほか、D&I・ウェルビーイング関連、接遇・マナー、思考力なども上位に入り、企業研修で選ばれているテーマは、対象者や解決したい課題に応じて細分化されていることが分かります。
2027年度の研修計画を検討する際は、人気の研修テーマやランキングをそのまま取り入れるのではなく、まず既存の研修体系と自社の課題を整理し、「誰に、どのような行動・能力を身につけてもらいたいのか」から必要なテーマを考えることが重要です。
「かんき出版の社員研修」では、既存研修を継続するか、見直すか、新たなテーマを取り入れるかといった整理から、企業ごとの課題に合わせてご相談を承っています。